倒産する会社から発せられる「決算書のシグナル」 業績不振のバロメーターとなる指標はこれだ

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倒産とセットで語られることが多いのが、経理操作や粉飾決算だ。TDBの調査によれば、粉飾などの不正発覚による倒産は2022年度に300件と、過去最多を数えた。

粉飾の可能性を見破るのは至難の業だ。「粉飾コンサルのような指南役も存在する。金融機関はどこも、貸付先として危ない会社を財務データから分析・検知する独自システムを持っているが、それをすり抜けてしまうような例はザラだ」。TDBの情報統括部情報取材課の内藤修課長はそう話す。

決算書を“性悪説”で見る

こうした会社にだまされないためには、「決算書を“性悪説”で見て小さな違和感も無視しないこと。そして決算書から得られる定量情報と、周囲の評判など定性情報を組み合わせて判断すること」(内藤氏)。

「以前は細かく開示していた指標の開示を突然やめてしまった」「オフィスの清潔さや雰囲気が徐々に変わってきた」……。そんな小さな変化も、不正や経営悪化のサインとなる。

会社の健康状態を見るうえで、決算書が重要な役割を果たしているのは間違いない。ただ、取引先や投資先を精査する際、その内容を過信してはいけないということも肝に銘じたい。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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