ウクライナに「ウラン弾」供与、英国の重大責任 放射能汚染で「イラク戦争の悲劇」再現も

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イラクでは湾岸戦争やその後の2003年に始まったイラク戦争で、アメリカ軍やイギリス軍によって劣化ウラン弾が大量に使用された。爆発時に発生する黒煙には、酸化ウランの微粒子が含まれており、イラク軍の兵士のみならず、従軍したアメリカ軍やイギリス軍の兵士も危険にさらされた。

破壊された戦車などの残骸は長期間にわたってイラク各地に放置され、劣化ウランの危険性は周知されなかった。砲弾などの破片は戦場となったイラクの国土に今も埋まったままで放射線を出し続けている。

父親をアメリカ軍の空爆で亡くしたイラクの子ども。ゴミをより分けて生計を立てているが、劣化ウラン弾の危険性は知らされていなかった(撮影・提供:佐藤真紀氏)

ボランティア団体に所属し、イラクでの医療支援活動に従事した佐藤真紀氏(国際協力アドバイザー、Team Beko代表)は編著書『ヒバクシャになったイラク帰還兵――劣化ウラン弾の被害を告発する』(2006年、大月書店刊)の中で、イラク戦争時の2003年にアメリカ軍の輸送部隊のトラック運転手としてイラクに派遣され、物資運搬の任務にたずさわった男性兵士の体験を詳しく記述している。

健康被害の訴えも「原因不明」扱い

同著では、男性が戦争で破壊された戦車やトラックの残骸をキャンプに運んで使えそうな金属だけを仕分けした後、残りを積んで「戦車の墓場」と呼ばれる場所に運んで捨てたことや、焼け付くような暑さの中、シャツやズボンに手袋を着けただけで戦車や大砲の解体・回収作業をしたことなどが記されている。劣化ウラン弾によって破壊されたものがあることについては男性を含む兵士は誰一人として知らず、危険回避のためにマスクを着けることも考えなかったという。

男性は運搬作業を始めてわずか6日後、顔の右半分が膨れ上がるなどの異変が生じ、激しい偏頭痛や排尿時に焼けるような痛みに見舞われた。そして視覚異常も生じ、陸軍は障害年金の支給を認めたが、原因は「不明」とされたままだった。帰国直後に生まれた娘は、指のうち2本が通常より短かった。

異常出産の写真を見せながら、「こんなケースはイラクだけでなく世界でも珍しい」と語るイラク・ムサンナ母子病院の医師(撮影・提供:豊田直巳氏)

障害をもって娘が生まれた頃、アメリカではニューヨーク州の地方紙で「イラク帰還部隊からアメリカ軍兵器の劣化ウランが検出された」とのスクープ記事が報道された。紙面では、イラクのサマワにいた9人の兵士が検査を受け、そのうち4人が劣化ウラン弾による放射性の粉末を吸入して被曝したことは『ほぼ確実』だという、核医学専門家グループのコメントが掲載された。

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