頑張ってるのに成果が出ない人はサ行が足りない プレゼン術より傾聴力のほうがよっぽど重要

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不特定多数の人に自社の製品やサービスをアピールするのは、セールスではなくマーケティングの仕事です。マーケティングは、広告やSNS、イベントなどで認知拡大を行い、潜在顧客を創り出します。

B2B、つまり企業対企業の取引の場合、マーケティングで生成された案件を成約(購買)にもっていくために個社毎に対応するのがセールスです。

イベントやセミナーに登壇するのは、マーケティング担当が多いです。マーケティング担当は、多くの人の認知を変える責任を持ちますので、プレゼン力が高いほうが多くの人を惹きつけます。

最近では、エヴァンジェリストという肩書きの人も増え、まさにより多くの人を惹きつける役割を担っています。

セールスは大勢の前でプレゼンする力を持っていなくても、成果を出すことはできます。セールスは、潜在顧客である目の前の相手に「YES」と言わせればよいのです。ですから、成果を出し続けている5%セールスの中には、プレゼンが得意でない方も含まれています。

95%セールスは、プレゼンスキルを磨き、そして話し上手になろうとコミュニケーション力を磨こうとします。商談で、時間の9割も話し続ける95%セールスは多くいます。

プレゼン術より傾聴力のほうが重要

プレゼン上手な人の話は、下手な人よりも、聞いていて心地よくなるかもしれません。

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しかし、顧客の本来の目的は、プレゼンを聞くことではなく、自分たちの課題を解決することです。「心地よく聞きたい」というより、「私たちの考えを聞いてほしい」と思う人のほうが多いのです。要はプレゼンが下手でも、課題を解決してくれればよいわけです。

解決のためには、個社の事情を理解し、それに合わせた解決策の提示が求められます。相手のことが分かっていないのに、知ったかぶりをして一方的に話し続ける人が、「嫌われるセールス」です。

10年以上前のように、解決策が画一的でシンプルであれば、説明するだけで事足りるかもしれません。現代では、顧客のニーズが複雑化して多様化していますので、1つの解決策で全ての顧客が救われる確率は下がっているのです。

「プレゼン術よりも、顧客のニーズを引き出す傾聴力のほうが重要である」

観光業の5%セールスがこのように発言していました。

顧客側にアンケートをとると、「聞き上手のセールスのほうが好感が持てる」と答えた方は51%、「話し上手のほうが好感を持てる」と答えた方は24%でした。

顧客の理解を促すために、一所懸命に話し続ければ相手に伝わるのかと思いきや、そうではなかったのです。

越川 慎司 クロスリバー代表取締役

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こしかわしんじ / Sinji Koshikawa

通信会社、ITベンチャーの起業などを経て、2005年にマイクロソフトに入社。業務執行役員としてPowerPointやExcelなどの事業責任者などを歴任。2017年に株式会社クロスリバーを創業。ムダ取りコンサルタントとして800社以上、17万人を超えるビジネスパーソンの効率アップを支援。日常業務にひそむ「名もなきムダ仕事」の撲滅に注力する。「株式会社クロスリバー」では、メンバー全員が週休3日・週30時間労働を継続。著書に『仕事ができる人のパワポはなぜ2色なのか?』(アスコム)ほか多数。

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