小売業者が企画して独自のブランド名で展開する商品群であるプライベートブランド(PB)。小売業者と製造を委託されるメーカーが直接取引することで、商品流通のコストや広告宣伝費などを抑え、安価で商品を提供できるのが特徴だ。
そのPB商品を販売する小売業者に激震が走っている。これまでのような業者間の激しい価格競争のことではない。「食品表示法」と呼ぶ新しい法律の施行がきっかけだ。
PB商品表示基準の変更
これまで食品表示を規定する法制度には「食品衛生法」「JAS(日本農林規格)法」「健康増進法」の3法があった。その複雑さを廃すために食品表示法として統一され、2015年4月に施行された。目玉は1年後から始まる、PB商品の食品パッケージに記される生産者の表示基準の変更だ。
これまで、PB商品の食品パッケージには、「製造所固有記号」の使用が認められてきた。記号と数字を使って生産者を表示する方式で、販売者が行政に届け出ている。行政はそのPB商品の生産者を把握しているものの、消費者からしてみると暗号としか映らず、見ただけでは生産者がわからなかった。
新しい法律の下では2016年4月に、この表示基準が変わる。まず、製造所固有記号を表示する場合は、「製造所所在地などの情報提供を求められた場合の連絡先」や「製造所所在地等を表示したWEBサイトのアドレス等」、もしくは「当該製品の製造を行っているすべての製造所所在地等」のいずれかを併記しなければならない。つまり消費者の意思さえあれば、PB商品の生産者を調べることを可能にする。
さらには、同一商品をひとつの製造所でのみつくっている場合は、製造者の名称と所在地を表示しなければならなくなる。なお、これらは加工食品と添加物については2020年3月末までの経過措置期間があり、すぐには適用されない。
変化が生じるのは、これまで自社のPB商品に製造所固有記号しか表示していなかった小売業者だ。代表的なのは「トップバリュ」のPBで有名なイオンや「みなさまのお墨付き」などのPBがある西友。セブン&アイ・ホールディングス、ローソン、ファミリーマートなどは、委託先メーカーをすでに公開している。
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