ウクライナはいかに「ルーブル圏」から脱出したか 『ウクライナ 通貨誕生』書評

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『ウクライナ通貨誕生 独立の命運を賭けた闘い』西谷公明 著
ウクライナ通貨誕生 独立の命運を賭けた闘い(西谷公明 著/岩波現代文庫/1232円/300ページ)
[著者プロフィル]西谷公明(にしたに・ともあき)/エコノミスト。1953年生まれ。早稲田大学大学院修了。87年長銀総合研究所入社。92年ウクライナ最高会議経済改革管理委員会メンバー、96年在ウクライナ日本国大使館専門調査員。トヨタ自動車などを経て2018年にN&Rアソシエイツを設立。

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始から1年が過ぎた。日々の戦況は伝えられてくるが、背景はなおも見えにくい。

ロシアとウクライナは結局いつ、なぜ、いかに戦うに至ったのか。その歴史はどのように絡み合い、なぜ解きほぐすのが難しいのか。核兵器も使用されかねない現状は、本来人類が真っ先に解決すべき問題のはずで、日本にとっても両国の歴史的関係を理解するのは肝要だ。

ルーブル圏からの脱出を敢行

歴史の理解を進めるには経済の話が欠かせない。また関連する事件の真相を知るには、現場調査を重ねるべきだ。だが、ソ連崩壊後のウクライナで政界や経済界に食い込みつつ、さらに両国の問題を分析してくれる日本人など、そうそう現れるものではない。

次ページロシアによるモノ中心の統制経済との闘い
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