アパレル、続々と「セール縮小」に動く納得の裏事情 以前から指摘されていた商慣習の問題に変化

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こういった文脈は、時代の流れに敏感に反応する、ラグジュアリーをはじめとするデザイナーブランドも同様だ。高橋悠介氏が手がけるファッションブランド「CFCL」は、デビューして3年という若いブランドだが、時代の文脈に沿ったファッションのあり方を提案・実践し、着実な成果を上げている。

「CFCL」というブランド名は、“Clothing For Contemporary Life=現代生活のための衣服”の頭文字をとったもの。デザイナー個人の美意識を表現するのではなく、現代を生きる人々の道具としての衣服という視点を大切にしているという。

そう聞くと、機能性を優先したベーシックなアイテムがそろっていると思うかもしれないがそうではない。立体的な造形美とカラフルな色使いによって、独自の世界を生み出している。クリエーティビティーが高い評価を受けて、毎日ファッション大賞をはじめとする受賞が数多く、パリコレにも参加して半年ごとに発表を重ねてきた。

ほぼすべてがニットなのが特徴

高橋氏が考える「現代生活のための衣服」とはどのようなものなのか?

「ソフィスティケーション、コンシャスネス、コンフォート&イージーケアの3つを柱にしています」(高橋氏)

日常にも少しフォーマルな場にも対応できる服であり、自宅で簡単に手入れできること、責任ある生産背景のもとに生まれた服であることを意味している。

特徴的なのは、ほぼすべてがニットであること。それも3Dコンピューター・ニッティングという手法をとっている。これは、デザインした服のデータをコンピューターに打ち込み、糸から立体的な服を編み上げていく特殊な製法で、布の裁断も縫製も必要がなく、無駄になる布や糸がほとんど出ない。

「クリエーティブだけでなく、サプライチェーンや社員の働き方を含め、時代に合わせて創っていくのが、ブランドが果たす役割ととらえています」(高橋氏)

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