大手損保、事故車の修理工賃を軒並み引き上げへ 各社2.5%以上引き上げ方針、保険料へ転嫁も?

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1994年以降、バブル経済崩壊による景気悪化やその後の金融危機などで国内の物価は長年下落基調で推移してきた。その一方、損保各社はデフレ下であっても対応単価を引き下げる改定をほとんど実施してこなかった。

2014年には消費者物価指数が前年対比で2.7%上昇したものの、それまでの累積の下落分が大きかったこともあり、当時は各社とも対応単価の引き上げには至らなかった。

2022年の同上昇率は2.5%で、2014年時と比べると低いため、上昇率だけを見れば対応単価を引き上げる根拠としては弱いようにも思える。

保険料の値上げに跳ね返る可能性も

ただ、2014年以降は消費者物価指数が緩やかな上昇基調にあるほか、コロナ禍の収束やロシアによるウクライナ侵攻などに伴ってインフレが世界各地で急激に進んだ。2023年に入ってもその勢いが続いていることもあり、大手損保各社は対応単価の大幅な引き上げは避けられないとみている。

対応単価の引き上げは、損保にとって支払い保険金の拡大につながり、コスト増の大きな要因となる。そのため今後、自動車保険料の値上げというかたちで契約者に跳ね返ってくる可能性がありそうだ。

中村 正毅 東洋経済 記者

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なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

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