JR西日本、梅田エリア「座って通勤」拡大の切り札 特急列車を増発、「Aシート」は新車両を導入

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普通列車でも有料着席サービスを増強する。JR神戸・京都・琵琶湖線(東海道・山陽線)の速達列車「新快速」は、「Aシート」という有料座席車両を備えた列車を2編成導入して網干・姫路―野洲駅間を1日2往復運行しているが、さらに2編成を増備しダイヤ改正に合わせ1日6往復体制とする。1日2往復では存在感が大きいとは言えないが、6往復なら認知度も高まるに違いない。ちなみにAシートの「A」は、快適性を表わす「Amenity」、この列車が走るJR神戸・京都・琵琶湖線の路線記号「A」、そして関西弁の「ええ(よい)」に由来している。

Aシートの初登場は2019年3月。新快速で活躍する223系を改造して製造され、223系の2編成に導入された。12両編成のうち9号車がAシート車両。通常の223系は片側にドアが3つあるが、Aシートは中央のドアをふさいで2ドアとした。

ふさがれた中央のドアがあった場所は座席となった。座席定員は46人。シートはリクライニング機能を備える。また、背面テーブルや網ポケットを備え、無料Wi-Fiが使えて肘掛けには電源コンセントが付く。壁や床をブラウンの木目調にして照明の色を変えたほか、吊り革も撤去。座席とドア付近との間にパーティションを設けて静音性も一定程度確保した。これらによって特急列車レベルの空間を実現した。

増備車は改造ではなく新造

スタート当初は指定席ではなく自由席。空いている席に座って車掌から乗車整理券を買う方式だったが、2022年3月から全席指定になった。折しも新型コロナウイルス感染症が拡大中。座って通勤したいというニーズだけでなく、密を避けてゆったりと乗りたいというニーズも高まっていた。こうした事業環境の変化もあり、JR西日本はAシートの増強を決めた。

1月18日、Aシートの新製車両が報道公開された。場所は大阪府東大阪市にある鉄道車両メーカーの近畿車両。同社は近鉄グループホールディングスの子会社だがJR西日本とも関係が深く、今回の車両も同社の手によって造られた。

今回は223系の改造ではなく、京阪神エリアで投入が進む225系をベースに2編成を新造した。223系同様、12両編成のうち9号車がAシート車両である。

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