話題は変わるが、モスクワでは大変な「日本食」ブームである。
今回のロシア出張では、寿司も天ぷらも何でもそろっているので、現地のロシア人の接待に現地の日本食レストランに連れて行ったのだが、今やロシア人は平気で刺身も食べる。10年以上続いた資源高でロシア人は豊かになり、モスクワ市内なら、寿司屋だけで数百店舗はあるだろう。
なぜ丸亀製麺がブームになっているのか
ただし、だ。日本人の板前がいる店は多くはない。キルギス人やカザフ人などが日本人の格好をして握っているが、見た感じは同じアジア人なのでわからないのだ。ただし、握りを見れば一目瞭然でわかってしまう。シャリはおにぎりのように大きく、ネタの鮮度もイマイチである。欧州から新鮮な鮭が入っていたが制裁で今は冷凍だからいただけない。「ロール物」が中心でボリュームばかり目立つのだ。
そもそも和食といえば、価格水準がロシアレストランの「5割増し」でも通用するので韓国人や中国人のオーナーシェフも寿司ハウスに参入しているようだ。「カロリー過多」のロシア人にとって、和食は健康食品なので、和食ブームは加熱することはあっても、そう簡単に冷めない。
さて、その和食レストランで、今やモスクワのブームになっている店がある。「丸亀製麺」だ(なお、冒頭の写真は丸亀製麺ではないので、あらかじめお断りをしておく)。
実は「日本の讃岐うどんのチェーンですごく流行っている店がある」と言われて見に行ったのだが、実際にロシア人が大挙して列を作っているのを見て驚いた。東証1部のトリドールの外食ブランドの一つだが、海外は90店あり、モスクワだけでいまや5店舗に増えている。
なぜここまで人気なのかと思い、実は味については期待せずに入ってみたのだが、丸亀製麺は日本の味そのもので勝負していた。日本人の私が満足するのだから、ロシア人が列を作るのも当然である。今回行った丸亀製麺は店舗面積約200平方メートル、80席の1号店で、2013年に開店したトレチャコフ美術館の近くにあった。
関係者に聞くと、今後は5年以内にロシアで100店舗を目指すとのことだ。讃岐うどんがこのように大成功しているのだから、日本のラーメン屋などの外食産業やコンビニなどの成功率はかなり高いはずだ。前出のように、本物の日本食はまだまだかの地に少ない。現地をよく研究すれば、大きな成功は必定だ。外食だけではない。その他の日本のサービス産業や教育産業も、豊かになったロシア市場には受け入れられる余地が大きいと予見する。ここは、ぜひ日本の若い起業家に期待したい。
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