日本再生の資金は米国債売却で捻出できる--英メディアが見た大震災下の日本
ジョン・プレンダー
英『フィナンシャル・タイムズ』紙論説委員、コラムニスト。金融ジャーナリストとして「The Square Mile」(1984), 「A Stake In The Future 」(1997) 「Going Off The Rails − Global Capital And The Crisis Of Legitimacy 」(2003)など著書多数。
--東日本大震災の最初の印象は?
圧倒的な規模の人的悲劇だ。数千人、数万人単位で人が亡くなり、家を失った。この悲劇の犠牲者のみなさんに、心からお悔やみを申し上げたい。
--日本経済への影響をどう見るか?
短期的には「供給ショック」が起きた。自動車の生産やその他の製造業が止まり、エネルギーの供給も大きな打撃を受けた。電力やガスが十分に行き渡らない状況となった。
長期的にはもっと複雑な動きとなる。供給ショックのために、予想されていた経済の伸び率が減少する。大きな復興需要も出てくるであろうから、その損害は若干は相殺されるかもしれないが。1995年の阪神淡路大震災や1923年の関東大震災の例を見ても、GDPにはそれほど大きな影響は出なかった。この時のように、復興需要が大きくなり、経済を活性化する、大きな需要の胎動が起きるだろう。
経済全体を見ると長期的には成長率を減少させるので損害を与えるが、震災の打撃を見て想像するほどの大きな負の影響にはならない。
--消費者心理はどうなるか?冷え込むのではないか。
災害が起きると、人々は注意深い消費志向となる。念のために買っておこう、と思うようになる。この点からは消費は活性化する。しかし、その一方では、震災で貯蓄に打撃を受けた国民は、長期的には使うより貯めるほうに向かうだろう。