空き家は「2023年」に売却したほうがいい理由3つ 「相続登記」の義務化が2024年に迫っている

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相続登記の義務化により、「実家を何となく相続したけれど相続登記をせずに持て余している」という状況のままでいることが難しくなってくると予測される。売却するか否かは相続する資産の価値や内容に左右される部分も大きい。相続登記して資産として持ち続けるのか、売却するのかを相続人皆であらためて考えるきっかけができたと捉えることもできるだろう。

加えて実家売却を検討する際、実家の価格が購入時より高額なケースでは、相続前の売却により3000万円特別控除が利用できる(細かな条件がある)。

原則として土地や建物を売却すると、売却によって発生した利益に対する譲渡所得税がかかり、大きな負担となるケースがある。しかしこの3000万円特別控除では、マイホームに限り、譲渡所得が発生しても3000万円まで課税されない。この制度を利用し、売却時の譲渡所得税をゼロにする、圧縮できるメリットは大きいはずだ。

ただし、空き家においては居住用自宅とは別要件を満たす必要があることなどに留意する必要がある。さらにこの制度の適用期限が2023年12月31日までとなっている点にも注意したい。

不動産以外の相続財産があり相続税が発生する場合は、不動産として保有するほうが相続税を圧縮できる場合もある。いずれにせよ義務化後相続登記完了後は売却の動きが活発になってくると予測される。売却を検討するなら、2023年中の迅速な対応が必要になってくることは間違いないだろう。

2、金利上昇、在庫増加で不動産価格に変動あり!?

2つ目の理由として、変動する不動産市場の動向がある。近年、特に首都圏を中心に不動産市場での高騰が続いているのはご存じの通りだ。2021年には⾸都圏の新築マンション平均価格はバブル期を上回る数字を記録した。

高騰する市場を支える要因の一つは、日本の圧倒的な低金利だろう。背景には黒田東彦・日本銀行総裁の就任以降、10年にわたって継続してきた金利緩和政策にある。欧米諸国がインフレ抑制に回り、利上げに動いている中でも依然として低金利の状態が続くのが日本だ。

現状、黒田総裁率いる日銀は金融緩和継続の方針を一部修正し、長期金利の上限拡大を発表した。住宅ローンを組む方の大半が、変動金利を選択している実態を踏まえると、長期金利の上限拡大が不動産価格に与える影響は少ないと見ることが出来る。

一方、黒田総裁の任期満了は2023年4月8日となっており、総裁交代のタイミングが利上げにどう影響するのかを含め、また総裁交代のタイミングを見越した市場の先読みにより、さらなる金利上昇局面へと移る可能性も否定できない。金利上昇によるローンの支払額が増加、融資限度額低下により不動産購買意欲が鈍れば、当然不動産価格にも影響する。

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