空き家は「2023年」に売却したほうがいい理由3つ 「相続登記」の義務化が2024年に迫っている

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適正に管理されない空き家が周辺に深刻な影響を及ぼしていることなどを受け、2015年、空家対策特別措置法が制定された。これにより国土交通省が定めたガイドラインに照らし合わせ「特定空き家」と認定された家屋の所有者は自治体の助言や指導に基づいた改善を行わなければならなくなった。

命令に違反するなどした場合、最大50万円以下のペナルティが科される可能性があるほか、固定資産税額の軽減措置対象から除外され、結果的に税金の負担も増加する。このように実家の維持管理、空き家問題は解決すべき喫緊の課題になりつつある。

しかしながら、代々住んできた土地を自分の代で処分するとなると迷いが生じるのも無理からぬことだ。相続登記や解体といった実家を手放す際の手続きやコストを案じた結果、空き家のままになってしまっているケースも少なくない。

ただ、空き家となった実家を手放すことを検討しているなら、2023年は売却のベストタイミングとも言えるのだ。以下、2023年が売却の契機だと考える3つの理由についてお伝えする。

1、任意だった相続登記が義務となる

理由の1つとして挙げられるのが、2024年4月1日よりスタートする相続登記の義務化だ。相続の開始および所有権を取得したことを知った日から3年以内に不動産の名義変更手続きを行うことが新たに義務づけられた。正当な理由なく相続登記申請をしなければ、10万円以下の過料が科されるなどの罰則も付記されている。

そもそも、不動産の名義人が亡くなった場合、不動産の登記名義を被相続人である故人から相続人に変更する相続登記の手続きを行うのが一般的だ。登記申請により不動産の所有者が変わることになる。

相続登記とは、「不動産の所有者は誰か」を明確にするものであり、不動産の売却や担保設定をする場合には不可欠な手続きだ。しかし期限もなく、放置しても罰則もないため、名義変更が行われず名義が故人(被相続人)のままになるケースも少なくなかった。

遺産分割協議の結果がまとまらない、相続登記の費用がかかる、手続きを後回しにしていたなどの理由から、実家の登記申請が手つかずになってしまっていたのだ。

相続登記が行われないため、登記簿で所有者がわからない、所有者がわかっても連絡がつかない「所有者不明土地」が増加、「空き家」の社会問題化に大きな影響を及ぼしている。このような所有者不明土地の解消を目的として、相続登記の義務化の法改正が行われた背景がある。

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