イオン撃沈!やっぱり下方修正で光明見えず GMS、食品スーパー、コンビニなどが不振

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堅調な食品スーパーは、食品価格を上げても生鮮品や総菜を中心に、付加価値の高い地域密着の品ぞろえを強化しており、シニアを中心に高い支持を得ている。一方、イオンは価格訴求の面を打ち出していることが裏目に出ており、消費者からは、「何でもあるが、欲しい物がない」との声が聞かれる。そうした状況を打破するためにも、本部主導から現場への権限委譲で、地域を重視する戦略に大きく転換しようとしている。

これに加えてイオンは、首都圏の食品スーパーである、「マルエツ」と「カスミ」を買収。子会社の「マックスバリュ関東」を含めた、共同持ち株会社「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス」を3月に設立し、攻勢に出る構えを見せる。

イオンはさらなる拡大志向を崩さず、他社にも参加を呼びかけていく方針だ。だが、イオンが出資するほかの首都圏スーパー、「ベルク」や「いなげや」は参加に距離を置いている。

「一転、下方修正」は昨年3月にも

GMSをめぐっては、セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂や中部圏が地盤のユニーグループ・ホールディングスも厳しい状況である。ヨーカ堂は1月から、戸井和久社長が衣料事業部長も兼務し、異例の指揮を執っている。またユニーグループは、前村哲路会長と中村元彦社長が3期連続減益見通しの責任を取り、3月に辞任する一方、コンビニ大手のファミリーマートとの経営統合計画を発表するなど、生き残りに必死だ。

イオンは今後、GMSやスーパーの新規投資を抑える一方、競争力強化に向けて、既存店改装に力を入れていく公算だ。とはいえ既存店は、地方の看板店として多く立地し、一時的な閉店でも地域に与える影響は大きい。あるイオン幹部は「改装は順次していくが、(店舗数が多く)分母が大きいので、どれぐらい早くできるかどうか」と打ち明ける。

思えば1年前の3月にも、イオンは2014年2月期について、増益予想から一転して、減益予想(2013年2月期比10%減)へと下方修正した。今回またしても投資家を裏切ることになる。イオンの悩みは深い。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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