我が子がどんな職に就いても、応援しよう 歯科医を嗣ぐはずだった息子が絶縁宣言

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山本様、4年間も親子の思いがすれ違ったまま過ごされたのは、残念なことでした。しかし、このようなすれ違いの事例は多く、必ずしも長すぎる期間とは言えず、この期間は山本様親子にとっては必要な期間だったかもしれません。

私ならどうするかというご相談でした。私であれば、まず、息子に歯科医になってもらうことを、心から諦めます。

そして、家業とはいえ、歯科医になることを強制して悪かったと息子に謝ります。「そんなに嫌だったら、その時点で言ってくれればよかったのに」、なんてことは絶対に言わないようにします。

どんな職業に就いても応援しよう

そして、これからは小さいことからコツコツと、自分でできることをしていきなさいと伝えます。歯科医でなくとも、そしてどんなに単純な、親から見てふさわしくないと思えるような仕事であっても、誠実に努めなさいと言います。そして陰ながら応援していること、大切な息子であることには変わりがないことを伝えます。

仕送りをストップするというメールを送る際に、それを伝えるべきでした。返事はなくとも、まだメールが送れる状態なら、一応、まずはこのことをメールするといいかもしれません。

ただし私でしたら、まず息子の下宿先へ、無理にでも会いに行きます。大家さんかオーナーに頼んで合鍵を手にしてでも、それが無理なら息子の部屋のドアの前に座り込んででも、息子を捕まえ、そのことを直接伝えます。

今、母親であるあなたが、彼に対して必死に働きかけること以上に、大事な仕事がほかにあるでしょうか。息子が、家族を遠ざけようとする心境を上回る母親の愛情で、史郎さんに安心を与えてください。家族が彼にとって信頼できる存在であることを、行動で見せてあげてください。それは、彼が自信と人を信頼する心を取り戻し、自分の人生を主体的に歩んでいくうえで、とても大切なことです。

家族ならではの微妙な感情のもつれがあり、思惑どおりに運ばないかもしれません。しかしどのような方法を取ってでも、私は息子を追い詰めた謝罪とこれからも息子が大切な存在であることを伝えます。親の葬儀には行くという息子と連絡がとれず、その暮らしの様子が把握できない母親にだけは、私はなるつもりはありません。葬儀に来なくていいからその分を今、会いに行かなければなりません。

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ミセス・パンプキン 『最強の人生相談』『一流の育て方』著者

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立命館大学卒業。ビジネスパーソン向けの家庭問題・人間関係・人生相談の専門家として、東洋経済オンラインで2012年より執筆。最新刊は『最強の人生相談』(東洋経済新報社)。息子であり、『最強の働き方』(東洋経済新報社)の著者であるムーギー・キム氏との共著に、『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』(ダイヤモンド社)がある。ミセス・パンプキンへの相談は、こちらのメール、あるいは相談受付サイトで受け付けています。なお相談件数多数につき、過去に類似する相談があった場合には取り扱いません。ぜひ、これまでの連載をご参照ください。男性からのご相談も歓迎しております!

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