追い風だからこそ見える本当の勝ち組企業 円安や特需に頼らない成長モデルとは

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製造業だけではない。アベノミクスによる国内景気の回復、訪日観光客の急増、首都圏のビル建設ブームや地価高騰――。こうしたさまざまな追い風が吹き、内需依存の非製造業でも最高益組が相次ぐ。たとえば、前田建設工業や戸田建設、三井不動産、住友不動産、野村総合研究所、オービック、セコム、帝国ホテル、日本空港ビルデングなど、その業種は非常に幅広い。

週刊東洋経済2015年3月28日号(3月23日発売)の特集は『絶好調企業の秘密』です。上場企業の2015年3月期は最高益更新組が続出。実力の高い企業にスポットを当て強さに迫りました。購入はこちら

500社を超す最高益組の中には、単に円安や特需といった外部要因に助けられただけの企業も含まれてはいる。しかし、実力で最高益を勝ち取る“真の強い企業”は決して少なくない。

たとえば、埼玉県を地盤に142店を展開する食品スーパーのヤオコー。過去20以上に渡って業績を伸ばし続けている驚異のスーパーで、2015年3月期は23期連続で最高益を更新する見込みだ。決して安さで突出したスーパーではない。にもかかわらず、ヤオコーの店舗は連日、多くの買い物客で賑わう。昨年春の消費増税後、既存店の客数は減るどころか、逆に増え続けているというから驚きだ。

カシオ計算機は、2015年3月期の純利益が前期比1.6倍の265億円へと急拡大し、8年ぶりに過去最高を更新する(数値は東洋経済予想)。快進 撃の原動力はGショック。米国、欧州、中東、東南アジア、中国……。世界中でGショックが売れまくり、その2014年度出荷本数は700万本を超え過去最高となる見込みだ。

Gショックは1990年代に日米で大ブームが起き、1997年に600万本の出荷を記録。しかし、ブームはやがて沈静化し、カシオの業績も一時は多額の赤字に沈んだがが、世界中で再び爆発的に売れ始めている。

長期的に見ると日本は人口減が進み、国内需要は先細り。追い風が吹く環境だからこそ、本当の勝ち組企業の姿も見えてきつつある。

渡辺 清治 東洋経済 記者
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