「市場首位を獲れ」と言われた経営幹部への助言 日本企業の14ケースから学ぶ首位奪取の戦略

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1位の旗
「立地」に働きかけて首位逆転を果たしたのは、どんな企業でしょうか(写真: CORA / PIXTA)
偉大な経営者たちの着眼点を知り、日本経済を牽引してきた企業110ケースについて学ぶ三品和広著『企業成長の仕込み方』がこのほど出版され、『経営戦略の実戦』シリーズ(全3巻)が完結した。
今回は、市場占有率を逆転した102ケースを収録した第3巻『市場首位の目指し方』から、成長市場で、事業立地の選択で首位奪取を果たした14ケースを本書から抜粋・編集してお届けする。

戦略の極意が詰まった10ケース

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本書では、市場を成長市場、衰退市場、成熟市場に分けて、それぞれの環境下で起きた逆転劇計102ケースを分析している。

逆転の定義は、旧首位企業も、新首位企業も、原則として10年を超えて首位を維持したことを前提とするので、重量級の首位交代劇に限定したことになっている。瞬間的な首位奪取やシーソーゲームは、逆転に数えていない。

102ケースのうち、成長市場で、「独創的な立地選択を果たして市場シェアを逆転したケース」という分類で紹介したのは、下記の10ケースとなる。

■独創的な立地選択で首位逆転の10ケース

中華料理の素(丸美屋食品工業が味の素を逆転、1998年)

低圧開閉器・制御機器(立石電機が日立製作所を逆転、1985年)

一般用エンジン発電機(本田技研工業が東芝を逆転、1985年)

ソーセージ類(日本ハムが伊藤ハムを逆転、1989年)

送風機(荏原製作所が日立製作所を逆転、1979年)

押出成形機および付属装置(日本製鋼所が三菱重工業を逆転、1979年)

整地機械(酒井重工業が小松製作所を逆転、1984年)

両替機(グローリー工業が神鋼電機を逆転、1985年)

電磁気分析機器(日本電子が島津製作所を逆転、1982年)

エチレンプロピレンゴム(住友化学工業が日本合成ゴムを逆転、1984年)

*年は、首位交代が起きた年を指す。市場や占有率の詳細は本書を参照

この10ケースの中には、戦略と呼ぶにふさわしい極意の塊が詰まっている。

というのも、ここには、旧首位企業と新首位企業が競合関係にあるという意識の希薄なケースが多数登場するからだ。

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