水族館の超人気者「イルカ」たちの過酷すぎる生涯 イルカ飼育大国・日本に住む私たちが知るべき現実

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今世界中で、水族館でのイルカショーに厳しい視線が向けられています(@Life Investigation Agency/Dolphin Project)
今、世界中で「動物愛護」に関する考え方が急激に変化しつつありますが、その中で日本人が知っておきたいテーマのひとつが「イルカ」の問題です。
環境保護団体の代表として和歌山県太地町でイルカ猟のシーズンに現場に立ち、イルカの“行き先”についても調査しているヤブキレン氏による寄稿です。

世界中で「イルカショー」に厳しい視線

今年も年の瀬が近づいてきました。家族や友人、そして大切な人と過ごす、心温まる季節だと思います。

一方で、私のような環境やどうぶつ保護の活動家にとっては、心苦しい季節でもあります。「クリスマスショー」などを目的に多くの人が足を運ぶ水族館などで、どうぶつたちが“利用”されている現実があるからです。

みなさまは今、世界中でイルカショーが厳しい視線にさらされていることをご存じでしょうか。

世界的な旅行予約サイト「エクスペディア」は昨年、ガイドラインを改定し、イルカや鯨類のショーを含む旅行プランの販売を中止しました。

今年3月には、北欧最大規模のどうぶつ園であるスウェーデン「コールモーデン・ワイルドパーク」が、12頭いるイルカのショーと展示を今後終了すると発表しました。

2019年にはカナダでイルカショーを含む娯楽目的での鯨類の利用や新たな捕獲に最大で20万カナダドル(約2100万円)の罰金が課される法律が制定されたほか、昨年11月には、フランスでイルカやサーカスで利用される野生どうぶつの飼育を禁止する法案が可決しています。

こうした動きは欧米諸国にとどまらず、インドやチリ、コスタリカ、ブラジルなどでもイルカの商業利用が禁止や制限されています。さらに今年11月24日には、韓国でも娯楽目的でのイルカの利用や、水族館での鯨類の新たな飼育や展示を禁止する法案が国会で可決し、1年後に施行される予定です。

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