ネタニヤフ首相は何を目指しているのか ワシントンにやってきた理由

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(写真:Toshi / Imasia)

3月上旬、ビビの愛称で知られるイスラエルのネタニヤフ首相が、ホワイトハウスに知らせずに米連邦議会の共和党員の招待を受け入れ、オバマ米国大統領のイランに関する政策を批判しにやって来たのは、どういう風の吹き回しだろうか。

ネタニヤフ氏は共和党支持者の称賛を渇望したのだろうか。2016年に共和党が政権を勝ち取るチャンスに賭けているのだろうか。世論調査を見るかぎり、それは極めて危険な賭けだ。

あるいは米連邦議会を彼自身のキャンペーンに利用しているだけだろうか。

多くのイスラエル人から出た批判

これも賭けであるように見える。イスラエル人の多くは、オバマ氏と多くのユダヤ系民主党員に対するネタニヤフ氏の挑発に対し極めて批判的であった。2人の元モサド(諜報機関)長官が、ネタニヤフ氏はこれ以上首相を続けるべきではないというイスラエル人たちの声に同調した。11年にモサドの長官だったメイール・ダガン氏はワシントンでのビビのスタンドプレーを「イスラエルの未来と安全を破壊するもの」であると評した。

彼の動機が何であれ、ネタニヤフ氏はイスラエルの指導者たちがこれまでしなかったことを成し遂げた。米国大統領を激怒させたばかりでなく、通常はイスラエル指導者を支持する人々からも厳しい公の非難を招いたのである。

イスラエルがつねに米国の支持をあてにできたという事実は、特にイスラエルの代表者による米連邦議会でのスピーチというこのような公の機会においては、イスラエルと米国が結合双生児のように一体であるという世界中の多くの人々が信じている仮説を裏付けたにすぎない。イスラエルは米国の手先だと考える者もいれば、その逆だと信じている者もいる。反ユダヤ主義者は「ユダヤ人」が米国政府、ウォール街、メディアを操っているのだと信じている。

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