海上土木専門のマリコンが支援活動の態勢入り。阪神大震災との規模の違いで戸惑いも【震災関連速報】

五洋建設、東亜建設工業など海上土木業者(マリコン)は、被災地での具体的な復旧支援活動に向けた態勢固めに入った。マリコン上位各社は、「一部の台船や機材が流された」(五洋建設)、「震災前は仙台空港の一部仕事を請け負っていたが、特段の被害はない」(不動テトラ)など業績へのダメージは最小限にとどまったもようだ。各社は「現地の工事責任者を東北支店に集める」(不動テトラ)など態勢を整えようと懸命だ。壊滅的な被害を受けた地域での港湾機能の復興支援は、計画を立案しても公共事業なので、財務当局による予算確保が前提となる。

今後、港湾設備がある被災地域の県など自治体と結んでいる防災協定に沿った支援活動に入る。現状、マリコン各社は、震災支援に迅速な対応ができる見通しだ。というのも、昨年前半までに羽田空港D滑走路という大プロジェクトを終えており、手持ち工事が端境期に入っていたからだ。つまり、待機していた作業用船舶や機材を、振り向ける先として、東北の太平洋側での工事需要が急浮上したのだ。

作業用船舶は「いつでも現地に送り込めるようにスタンバイしている」(東亜建設工業)など順次、被災地に向けて海上移動を始める腹積もりだ。  

国土交通省(3月16日時点)によれば、供用している港湾は、青森、釜石、小名浜で、安全確認が済めば供用できる港湾は、八戸、岩手・久慈。測量など調査が済めば近いうちに供用できるのが、仙台港、宮古港、大湊港。これらの港は、救援物資や機材の輸送拠点として機能する。
 
起重機船が太平洋を北上中 

 こうした港湾機能の復旧に先んじて、業界団体の日本埋立浚渫協会(会長=村重芳雄・五洋建設社長(写真)、会員数27社)は、本部と東北支部を通じて、現地の状況を踏まえた対応策づくりに乗り出した。埋浚協は、日本土木工業協会など建設業者の他の団体などと対策本部を震災後すぐに立ち上げており、国土交通省東北地方整備局との連携で、作業用船舶を被災地に向けて送り込むことになった。協会によると、このうち、どの港湾で活動するのか決まっていないものの、ブルドーザーなど重機を積んだ起重機(超大型クレーン)船が隻数など集計はないが、東北の太平洋岸に向かっている。ただ「低気圧が接近し、海上はしけており、思うように近づいていない」(業界関係者)という。

一方、各社は、業界団体を通じた活動と別に、個別の案件調査に乗り出した。最大手の五洋建設などは、被災地に人員を派遣し、調査に乗り出した。「復旧支援の土木事業は民間の建設会社の役割」(国土交通省海岸・防災課)。

ただし、被災地のなかで、壊滅的な被害を受けた地域は、国土交通省が中心となって、港湾機能の復旧事業計画を立案した後、財務当局による予算措置が前提となる。前例としては、阪神大震災や新潟中越地震の災害復旧事業があるが、「規模が違いすぎて、経験がそのまま当てはまらない。現場サイドが対応策を描こうにも展望が見えづらい」(マリコン中堅幹部)と戸惑いの色は隠せない。

しかも、マリコン工事は、気象条件に大きく左右される。春は海上作業に着手しやすい気候が続くが、台風シーズンに入ると作業はしづらくなる。東北の冬場は寒さに加え、雪や波など荒れた日が多いと工事は滞る。よって、一年中フル稼働とはいかないので、短期間で復旧を目指したくても、うまく行かない場合もある。まさに、時間との戦いという側面があるのだ。ここは急がば回れ。「マリコン数社が集まったぐらいでは対処できない規模なので、大手ゼネコンとしっかりと補完し合うなど従来の垣根を越えた協調行動が民間の建設各社に必要」(業界幹部)との指摘もある。
(古庄 英一 撮影:今祥雄=東洋経済オンライン) 衛星写真は気仙沼(c)google

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