市場大変動のリスクに個人投資家はどう備えるか ヘッジファンドGCIの山内英貴CEOが現状を解説

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ひとたびテールリスクが顕在化すると、マーケット全体がリスク回避とキャッシュ化に動くセリングクライマックスとなり、株安、債券安、通貨の自国回帰によるドル安といった、円建て投資家にとっての全面安になりやすい。コツンと底を打つような場面が来て、買い場となる。

テールリスクが起きることに賭けて儲ける方法もあるが、いつ起きるかは予想しにくく、難易度が高い。実現するまで損を出し続けることになってしまう。一方、備えをせずにメインシナリオに沿ってリスクを取りすぎてしまっていると、資産が50%も減るということも考えられる。そして本来、買いたいところで、売らされてしまう。これは最悪だ。リーマンショックで下がった時もそこで買えた人と売らされた人の差は大きい。

リスクを取りすぎず、方針を決めたら変えない

――ポートフォリオはどう考えればいいですか。

基本は分散しかない。円で生活するから円で安定した収益を得たいということなら、リスクを抑えるために、為替ヘッジをする必要があるが、今のような局面だとリターンがあまり取れない。

リスクを取ってもいいから長期でリターンを極大化したいということなら、ドル建てでアメリカ株に時間分散投資するのがいいかもしれない。地域分散という考え方はあるが、アメリカのグローバル企業はグローバルな成長を取り込んでいるし、配当意欲が高いので投資対象はそれだけでもいいとも言える。

円でリスクを抑えた投資とドル建てのアメリカ株投資を組み合わせてもいいし、どちらかだけでもいいが、いずれにしてもリスクを取りすぎないことが重要だ。それと、方針を決めたら簡単に変えずに続けることも大事だ。積み立てを始めたらやめないこと。市場の動揺に右往左往すると、損切りを繰り返すことになる。

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