話が上手な人は「身体」の使い方をわかっている 信頼感を得られる「ジェスチャー」はコツがある

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こうした規則性のないジェスチャーは、「感情的である」というイメージを聞き手に残します。よくいえば情熱的ですが、それでは信頼性は高まりません。

信頼感が高いジェスチャーの基本は、シンメトリー(左右対称)です。左右同時に手を出し、手の広げた角度や高さも左右対称。こうした意図的な動き、その規則性に相手は信頼感を抱きます。

この左右対称な両手のジェスチャーをしているリーダーとしてまず思い出すのが、トヨタ自動車社長の豊田章男氏の姿です。

社内開催の年頭挨拶や入社式はもちろん、コロナ前まで開かれていた日本最大の自動車展示会である東京モーターショーで行ったプレゼンテーションなどで、氏が左右対称に両手を広げたシーンが数多く見られます。

豊田章男氏のジェスチャーのすごさ

氏の左右対称のジェスチャーは「①身体の動きを止める」の条件も満たしています。胸の前で組み合わせた手の平を動かさずに話す。話に合わせて、それをさっと左右対称に大きく広げる。そして広げた両手は広げたまま動かさない。このメリハリが絶妙です。堂々とした姿は世界中の人々を惹きつけます。

氏のプレゼンテーションやスピーチは、同社のオウンドメディア「トヨタイムズ」に数多くの動画が公開されています。どのように両手を左右対称に動かしているのか。どこで止めて、どこで動かしているのか。よき手本となります。

また、このサイトでは、公開されている動画内容が文章でも公開されているのも特徴の1つです。リーダーのための話し方の教材の宝庫。ぜひチェックしてみてください。

【身体マネジメント3 】インボックスジェスチャーのすすめ

豊田氏のジェスチャーを動画で見て、「これは自分にはできないな……」と感じた方も多いかもしれません。

あなたが豊田氏のようにグローバルリーダーであるならば、ぜひ同じくらいのジェスチャーに挑戦していただきたいところです。しかし正直申し上げると、日本人のリーダーには難しい面があるのも否めません。それは「アウトオブボックス」と呼ばれるタイプのジェスチャーだからです。

日本人リーダーにおすすめしたいのは、「インボックス」タイプのジェスチャーです。

自分の身体の前に箱(ボックス)があるとイメージしてください。縦は肩から胸の前までの上半身、横は肩幅、奥行きは両手を伸ばした程度の、立方体状の範囲です。ジェスチャーがこの箱の中に収まっているのが「インボックス」。反対に箱より外に手が出ているのが「アウトオブボックス」です。

次ページ「インボックスとアウトオブボックス」の違いをイラストで解説
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