逆転の発想、普通のクルマを自動運転化する技術 BMWも導入、レベル5コントロールタワーとは

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自動運転車は、事故の低減や渋滞の解消、乗員の快適性向上など、さまざまなメリットを生むことで実用化が期待されている。また、とくに路線バスなどの公共交通機関については、ドライバー不足などが要因で、人口が減少する中山間地域など利用者が少ないエリアでは、路線が維持できないといった課題解消にも貢献するといわれている。だが、一方で、例えば、歩行者が急に飛び出してきた際に、安全な停止を担保できないなど、まだまだ技術的な課題も多い。そのため、当面は、人があまり立ち入らない閉鎖的エリアでの運用が現実的だといえるだろう。

実際に自動運転バスなどは、全国で実証実験などが行われているが、公園の施設内など限定エリア内で運用され、緊急時には手動で停車させるためにドライバーが同乗している例が多い。さらに装備的にも、高精度センサーなど高価な装置を搭載する必要があるなど、まだまだ1台あたりのコストが高いことも、実用化や導入のハードルを上げている要因だといえる。

自動車OEM以外での活用

今回、紹介したシステムは、あくまでB to B向けではあるが、車両に特別な装置を必要とせず自動運転化できるというのは、コスト面のメリットもあるし、そもそもアイデアがユニークだ。また、自動車OEMだけでなく、物流やレンタカー、商業施設などの事業者も導入でき、人件費や人手不足といった課題解消につながるという点も興味深い。いわゆる「普通のクルマ」を、インフラやソフトウエアなどを介して自動運転化するという当システムが、日本の市場にどう受け入れられるのかが、今後注目されるところだ。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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