逆転の発想、普通のクルマを自動運転化する技術 BMWも導入、レベル5コントロールタワーとは

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敷地内のLiDARなど各センサーが検知したデータは、SENSRを用いて、近くに設置されたサーバーでデータ処理・分析を行うエッジコンピューターにより処理され、必要な情報がクラウドに伝送される。その情報をもとに、車両のパスプランニング(Path Planning、搬送ルートの計画)を作成。設定した運搬ルートをはじめとする、適用領域内にあるすべてのクルマや人、ほかの物理的な実在物の位置を特定し、リアルタイムで安全な運行ルートを計算する。その情報をもとに、同じくクラウドを駆使し、システムが運搬車両の車載通信機を通じて車載ECU(車両システムを制御するコンピュータ)へ指令を出し、操縦、ブレーキ、加速、駐車を無人で行うことで自動搬送を可能とする。

なお、LiDARなどのセンサーは、例え数百個を設置したとしても、SENSRに搭載するディープラーニングAIが膨大な情報を同時に融合、調整して処理することが可能。システムは0.1秒毎に更新し、99.9%の精度と4cmの最大偏差で、すべての車両位置を決めるという。また、自動搬送できる車両は、ネットワーク内であれば、数百台を同時に自立走行させることも可能で、運搬業務を非常に効率化できるというのだ。

現行車であれば車両側に手を加えず導入可能

さらに当システムに対応する運搬車両は、前述のとおり、基本的に車載通信機を搭載することが前提だが、通信方式はローカル5Gまたは4Gネットワークのいずれにも対応する。最近のクルマには、ナビの地図を自動更新したり、スマートキーで遠方からエンジン始動したりといった、コネクティッドサービスに対応するモデルも増えていることで、同システムは幅広い車両への対応が可能だ。

ほかにも車両には、アクセル、ブレーキ、変速機、ステアリングの4機構を制御できるドライブバイワイヤ・システムを搭載していることも必要だ。ドライブバイワイヤとは、従来のケーブルなどを使った機械式制御ではなく、電子信号により制御するシステムのこと。例えば、アクセルでは、ドライバーがペダルを踏むとセンサーが踏み込み量を感知し、車載ECUがそれに応じた出力を出すように指令を出すといった仕組みで、燃費向上などに貢献する。こうした仕組みも、近年の市販車では一般的になってきたため、新車を生産する工場などへの導入であれば、さほどハードルは高くないといえるだろう。

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