「キンプリ」王道ジャニーズなのに"新しい"理由 『クロサギ』平野紫耀は詐欺師をどう演じる?

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1960年代の初代ジャニーズ、1970年代の郷ひろみなど、もともとジャニーズには「王子様」の系譜があった。そこに例えば1980年代の男闘呼組、さらには2000年代のKAT-TUNのような、ワイルドであったり影があったりする「不良」の系譜が人気を博することで、ジャニーズ全体が活性化するという歴史があった。

ヒップホップナンバーの「ichiban」は、本来「不良」の系譜に属するジャニーズが歌ってもおかしくない楽曲だろう。だがそれを「王子様」の系譜を受け継ぐKing & Princeが歌い踊ったところに妙味、新鮮味があった。

実際「ichiban」は、曲調やダンスにはヒップホップならではの不良性の魅力がある一方で、「一番」を目指すために困難はあっても努力は惜しまない、ファンとともに成長し続けるというメッセージを読み取れる王道のアイドルソングにもなっている。

つまり、コアにある「王子様」的魅力を維持しつつ、「不良」的な魅力を新たに融合させたのが、「ichiban」だったと言えるだろう。そんな一曲がバズったことは、King & Princeが“王道でありながら新しい”という印象をファン以外にも根付かせるきっかけになったと言えるのではないだろうか。

「王道なのにユルい」King & Princeの個性

そんな“王道でありながら新しい”という特徴は、King & Princeというグループそのものの個性にもなりつつある。

King & Princeは、最初にも述べたドラマ主演の件からもわかるように、強力な個の集合体ということを感じさせるグループだ。

ジャニーズグループには、グループ内で役割分担がある場合が多い。例えば、歌、ダンス、演技、笑い、MCなど、それぞれの適性や目指す方向性によってグループのなかでの役割、担当が決まっている。そしてそのことが、個々のソロ活動にもつながるという構図である。

もちろん、King & Princeのメンバーそれぞれにも違いはある。

平野紫耀については後述するが、どの世代からも愛される真っ直ぐなひたむきさが魅力の岸優太、「国宝級」とも称されるクールなイケメンぶりが際立つ永瀬廉、「チャラい」キャラから最近は落ち着いた魅力も出てきた神宮寺勇太、そしてダンスが得意で最年少の弟キャラが似合う髙橋海人といったように。

だがそれも、あくまでキャラクターの違いであって役割分担というような側面は強くない。

次ページ全員が正統派で天然でもあり、王道なのにユルいグループ
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