「キンプリ」王道ジャニーズなのに"新しい"理由 『クロサギ』平野紫耀は詐欺師をどう演じる?

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例えば、今年始まったグループ初の地上波冠バラエティー番組『King & Princeる。』(日本テレビ系)を見ても、誰かが正統派で誰かが天然というような感じではなく、全員が正統派でありつつ、天然でもあるという印象だ。

言い換えれば、全員が格好良さと面白さを兼ね備えている。王道なのにユルい。そんな魅力をそれぞれのベクトルで表現する個人が集まったグループがKing & Princeだ。その点、メンバー間の年齢差も比較的小さく、フラットな関係性の良さを感じさせるグループでもある。

ピュアさの塊のような平野紫耀が詐欺師を演じる

むろん平野紫耀も、王道の魅力とユルさの魅力を併せ持つ存在だ。

まさに王道中の王道と言っていいビジュアル、歌やダンスのパフォーマンス力の高さはいうまでもない。飛び抜けた身体能力も『King & Princeる。』などで証明済みだ。しかしそれなのに、バラエティー番組に出れば、芸人も太刀打ちできないような超が付くほどの天然ぶりを発揮する。

予想もしない角度から飛び出す、そんな彼の天然ボケの数々にはこちらが思わず噴き出してしまうことも多々あるが、その根底には一貫して彼の人柄の純粋さがうかがえる。

『花より男子』の続編にあたるドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBSテレビ系、2018年放送)で演じた神楽木晴役でも、ビジュアルや佇まいのクールな印象とのギャップから生まれるピュアな面白さが発揮されていた。

今回『クロサギ』で共演する三浦友和が、平野紫耀のことを「国宝級の純粋さ」と評していたのもうなずけるところだ。その一方で、「現場では集中力があって熱心で」と演技に取り組む姿勢を称賛してもいた(『マイナビニュース』2022年10月17日付記事)。

ピュアさの塊のような平野紫耀が、自分とは真逆の詐欺師という役柄をどのように演じるのか、大いに期待したい。

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太田 省一 社会学者、文筆家

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おおた しょういち / Shoichi Ota

東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本社会の関係が研究および著述のメインテーマ。現在は社会学およびメディア論の視点からテレビ番組の歴史、お笑い、アイドル、音楽番組、ドラマなどについて執筆活動を続ける。

著書に『刑事ドラマ名作講義』(星海社新書)、『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『水谷豊論』『平成テレビジョン・スタディーズ』(いずれも青土社)、『テレビ社会ニッポン』(せりか書房)、『中居正広という生き方』『木村拓哉という生き方』(いずれも青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)など。

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