「マンション漏水事故」の95%は給湯管ピンホール 保険加入拒絶、住人同士の大喧嘩にスラム化も

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事故が起きると保険を使います。自動車の保険を思い浮かべていただければわかると思いますが、保険金を請求する契約者は、保険会社にとってありがたくない存在なので、保険料を引き上げたり、繰り返し事故を起こして保険金を請求してくる人については、契約自体を断るという対応になります。

マンション総合保険に関しても同じで、同一マンション内で全戸の大体15〜20%くらいの住戸でピンホール事故が発生すると、保険会社によっては保険契約を断ってくるのです。

とんでもない高額の保険料で保険契約を受ける保険会社もありますが、高額の保険料は管理組合の財政を圧迫します。それでも契約をしてくれるならまだしも、5年後の契約期間満了時にもう一度更新してくれる保証はありません。

保険加入できないと、最悪「スラム化」

もしも保険がかけられなくなるとどうなるか。不動産を売買したり賃貸したりする際に、仲介業者が発行する重要事項説明書にはその旨を記載しなければなりません。

保険に入れないマンションは事実上、売買も賃貸もできなくなります。仲介業者は基本的にそんな物件をあっせんしないからです。

保険を使えなくなればピンホール事故が起きても、その対応に必要な費用は管理組合の自腹。共用部からの雨漏りで被害を受ける住戸が出た場合も管理組合の自腹になります。そんなこんなで修繕積立金は瞬く間に減っていきます。

手元不如意になることで必要な修繕を先送りし、管理状態が悪くなり始めたら、修繕積立金の徴収率も落ち、瞬く間にスラム化します

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