「マンション漏水事故」の95%は給湯管ピンホール 保険加入拒絶、住人同士の大喧嘩にスラム化も

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それでは誰が事故の情報をもっているかというと、それはマンション管理会社です。

管理会社は最も詳細な情報をもっています。常駐の管理人がいるマンションであれば、管理会社に雇われている管理人に、常駐の管理人がいない場合は管理会社のコールセンターに、被害者から事故の第一報が入り、その後の業者の手配から保険請求、当事者間の示談まで、一切を管理会社のフロントマネージャーが仕切るからです。

しかし、管理会社のフロントマネージャーが「専有部で起きたことだから管理組合と詳細に情報を共有する必要はない」と考えたら、管理組合には通り一遍の報告しかしないでしょう。

管理会社が情報を管理組合と共有する、それも問題の本質やマンション全体に及ぶであろう影響なども含め、かなりていねいに共有しない限り、同じマンション内でも過去の経験値は活かされないままになるのです。

ピンホール事故は他人事じゃない理由

情報がなくても、専有部で起きたことでも、他人事とは言ってはいられないのが、ピンホール事故の怖いところです。

ピンホール事故はいつ、どの住戸に起きるか予測が不能で、いつ自分が加害者になるかわかりません。明日は我が身なのです。最上階の住民以外のすべての住民が突然被害者になる可能性をもち、1階の住民以外のすべての住民が突然加害者になる可能性をもっているのです。

そして、何よりも重要なのは、たとえ自分の部屋で事故が起きなくても、同じマンション内での事故発生件数が増えてくると、保険会社から、マンション全体で加入している「マンション総合保険」への加入を拒絶されるという点です。

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