スマホに没入するわが子を引き戻す合理的な方法 理性に頼らず、「仕組み」と「気づき」で対応する

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ここまで、子どもとスマホについて親のかかわり方をお伝えしてきましたが、それ以前に心掛けたい、親子関係の土台になる2つの点についてもお話ししたいと思います。

まず1つ目が、「ダメ出し中心になりすぎない」こと。あれがダメ、これができていない、とダメ出しばかりすると、子どもは反発し、親の言うことを素直に聞かなくなります。

もちろん、しつけとして言わなければいけないことはありますが、ダメ出しは必要最低限にして、それ以上に「この部分はできているよ」とか「この取り組み方はすごく良かったね」といった“認めるフィードバック”をしてあげてほしいのです。

認めるといっても、「自主的に勉強机の前に座った」「宿題のプリントを1枚だけやった」など、本当にささいなことでかまいません。

物事を「できるメガネ」で見る

認めるためには、物事を「できないメガネ」で見るのではなく、「できるメガネ」で見るようにするといいでしょう。

たとえば、毎朝5時に起きると決めていたのに、2度寝して6時に起きたとします。「できないメガネ」で見ている人は、「早起きに失敗した」「意志が弱い」と捉えます。一方で、「できるメガネ」で見ている人は、「これまでよりは30分早く起きられた」「ちょっとずつ早起きできるようになっている」と捉えます。

どちらの捉え方をしたほうが、明日の早起きにつながりやすいかといえば、もちろん後者です。

ポイントは、たとえ完璧にできていなくても部分点をあげていくこと。できなかったことをダメ出しする減点方式ではなく、小さなことでも認めて部分点を少しずつあげていきましょう。

できないことばかりに注目していると、できないことが余計に目につきます。逆にできることに注目していればできることがさらに見えてくるという好循環が生まれます。

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2つめは、子どもが興味を持っている世界観を共有すること。マンガでもゲームでもYouTubeでも何でもいいのです。大人も一緒に見て「どんなところが面白いの?」「へえ、これは楽しいね」などと会話をしてみる。子どもが今何を面白がっているかを知っておいてほしいのです。

子どもの趣味だからと侮るなかれ、実際に触れてみると、案外面白かったり勉強になったりするものです。

もちろん、親自身の趣味を子どもとシェアしてみるのもいいでしょう。共通の趣味や話題があることは、安定した親子関係のベースとなります。

このように、子どもとの信頼関係を築いていき、良き理解者となることで、親の指導が実を結びます。ぜひみなさんも実践してみてください。

大平 信孝 メンタルコーチ

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おおひら のぶたか

株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役。メンタルコーチ。中央大学卒業。長野県出身。会社員時代、自身が部下育成に悩んだ経験から、脳科学とアドラー心理学を組み合わせた、独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。部下育成のためのメソッド「行動イノベーション・トーク」を広めるべく、「行動イノベーションアカデミー」を運営。これまでサポートしてきた企業は、IT、通信教育、商社、医療、美容、小売りなど40以上の業種にわたる。主な著書に、『本気で変わりたい人の行動イノベーション』(秀和システム)、『先延ばしは1冊のノートでなくなる』(大和書房)、『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』(かんき出版)など。

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