JR只見線「11年ぶり」復活、地元住民たちの執念 利用者少なくても観光による「経済効果」大きい

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福島県では、復旧後の只見線を日本一の「地方創生路線」とすることを目標に掲げ、周辺自治体や地域住民が一体となって只見線利活用プロジェクトの名のもとに様々な取り組みが進行中だ。

会津鉄道のトロッコ列車も只見線に乗り入れた(写真:星賢孝)

只見線の被災区間の2010年の輸送密度は49人。それでも今後の活性化を実現させるために、観光客や地域住民の利用促進はもとより、只見線に訪れる撮り鉄の方々に向けた撮影スポットや景観整備も行われている。

只見線の臨時列車にガイドとして乗車する奥会津かねやま福業協同組合の大越知貴さん(30歳)は「活性化の取り組みが一過性のもので終わらないように努力していきたい」と抱負を語る。目標は「只見線をきっかけに奥会津地方のファンを増やしリピーターになってもらうこと」だという。観光シーズンにはトロッコ列車も運行され、首都圏や東北地方各地からの観光客で賑わった。

小学生向けプロジェクトも

地域住民への利用促進の1つとしては、福島県内の小学生を対象にした只見線学習列車プロジェクトも実施されている。

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鉄道に乗ったことのない子供たちに対して、鉄道に興味を持ってもらうきっかけづくりを行うことで、将来的な利用促進に結び付けていこうという取り組みだ。

さらに只見線の橋梁が見渡せる撮影スポットなども整備され、列車の撮影に支障をきたす杉や雑木の伐採も行われた。奥会津郷土写真家の星さんは「撮り鉄を好んでおもてなしするのは只見線だけ。ぜひ、写真撮影のためにも奥会津に足を運んでほしい」と魅力を語った。

櫛田 泉 経済ジャーナリスト

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くしだ・せん / Sen Kushida

くしだ・せん●1981年北海道生まれ。札幌光星高等学校、小樽商科大学商学部卒、同大学院商学研究科経営管理修士(MBA)コース修了。大手IT会社の新規事業開発部を経て、北海道岩内町のブランド茶漬け「伝統の漁師めし・岩内鰊和次郎」をプロデュース。現在、合同会社いわない前浜市場CEOを務める。

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