9つの意図はほぼ正確「猫語翻訳アプリ」の本気度 「にゃー」にも色々な意味が込められている

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この技術を、私たちの仲間である生物に応用することは、とても魅力的なことだと思う。

にゃんトークを立ち上げたハビエル・サンチェス氏は、「私たちは、猫が何を言っているかを理解し、彼らに言葉を与えようとしている」と語る。「これを利用して、人々が飼い猫とより良い、より強い関係を築く手助けをしたい」。

3種の生き物がいる家で暮らす動物愛好家の私にとって、気難しい猫のモモと、甘えん坊の犬のワトソンとの共同生活におけるペット翻訳アプリというアイデアは魅力的だった。だが、にゃんトークの開発者たちは、まだいくつかの問題があることは認めている。

嬉しい時と、最悪な時の鳴き方

猫の鳴き声のニャーにはいろいろな意味がある。ネコにとって最高の状況、例えばエサをもらっている時、ニャーは短く高い音で、イントネーションが上昇する傾向があることが、最近のある研究(まだ科学雑誌には掲載されていない)で明らかになっている。しかし、最悪の状況(猫用キャリーに閉じ込められた状態)では、一般的に猫はイントネーションが下がる、長く低いニャーと鳴き、苦痛を訴える。

スウェーデンのルンド大学の音声学者で、Meowsicという研究プロジェクトの一環としてこの研究を主導したスザンネ・シェッツ氏は、「猫はさまざまなことを知らせようとするとき、鳴き声にさまざまな種類のメロディーを使う傾向が見られる」と述べている。

そして2019年の研究では、ミラノ大学のコンピューター科学者であるスタブロス・ンタランピラ氏が、猫がブラッシングされているとき、食べ物を待っているとき、見知らぬ環境に1匹で置き去りにされているときの3つの状況で発するニャーをアルゴリズムで自動的に区別できることを実証した。

この研究が発表された後、ンタランピラ氏に協力を求めたにゃんトークは、この研究をさらに発展させ、さまざまな文脈での猫の発声をアルゴリズムで識別している。

にゃんトークでは、猫の発話をリアルタイムで検出して分析し、幸せ、休息、狩り、求愛など、広く定義された「意図」をそれぞれに割り当てる。次に、検出された意図を会話形式の平易な言葉に「翻訳」する。例えば、困窮したモモの「休ませてください」などだ(不思議なことに、これらの翻訳には「今すぐ私に食べ物をくれないなら、あなたの足に噛みつくわよ」という脅しの言葉は含まれていないようである)。

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