「稼ぐ力」が増している企業ランキングTOP50社 『会社四季報プロ500』秋号の独自調査で判明

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2位に入ったのはセルシス。9月にアートスパークホールディングスから社名変更した同社は、イラスト制作などのソフトを展開。中でもイラストや漫画、アニメ、ウェブトゥーン(縦読み型電子コミック)などの制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」は、海外向けを中心に2022年6月末時点で累計出荷本数が2100万本。前年同月比では約55%という高い伸びとなり、業績を牽引している。今2022年12月期の営業利益率は26.3%となる見通しで、2019年12月期と比べて21.8ポイントの改善となっている。

3位は、格安航空券予約サイト「スカイチケット」を運営するアドベンチャー。新型コロナウイルスの感染拡大で後半に急失速した2020年6月期の0.9%を大底に、コロナ禍の中で営業利益率を着実に向上させてきた。売上高は金券ショップ、ギフト券子会社を非継続事業化したこともあり、2021年6月期が362億円、2022年6月期が117億円と大きく減少した。

一方で、営業利益は2021年6月期の9.8億円から2022年6月期に20億円へと増加した。海外航空券が渡航制限で大きく減少する中で、国内で旅行関連アプリ経由のリピート客にターゲットを絞り、広告宣伝費を大きく減らす戦略が奏功している。今2023年6月期は国内航空券を軸にレジャー需要回復の追い風を受け、20%の営業利益率を達成する計画だ。

市場活況の半導体関連が上位を占める

一方、首位の新光電気工業以外にも、利益率上昇ランキングの上位には半導体関連の企業が多くランクインした。利益率が14.2ポイント上昇し7位に入ったのが、アナログ電源IC専業のファブレスメーカーであるトレックス・セミコンダクター。車載機器向けの販売がカーナビなどインフォテインメント分野からウィンドウやシート用途などにも拡大したほか、産機向けもFAに加え、社会インフラ関連が伸びている。

2020年3月期と今2023年3月期予想を比較すると、売上高は6割増、営業利益は8.8倍に急伸。パワー半導体などの受託製造を手がける子会社のフェニテックセミコンダクターも、受注増加に伴い工場稼働率が上昇。収益性の上昇につながっている。

利益率12.7ポイント改善で同率9位となったディスコSCREENホールディングスは、ともに半導体製造装置の世界トップ製品を持つ大手だ。

ディスコは切断・研削・研磨装置で首位。自動車業界で急速に進むEV(電気自動車)化により、パワー半導体向けの製造装置が大きく伸びている。拡大傾向にあったメモリー向けが足元でやや減速感も出ているものの、ロジック関連は引き続き堅調。こうした製造装置の需要増に伴い、採算のいい消耗品が増えていることも、利益率向上の要因だ。今2023年3月期の営業利益率は38.6%の予想と高い水準となっている。

一方、ウエハ洗浄装置で圧倒的な存在感を持つのがSCREENホールディングス。大手半導体メーカーの積極的な新工場投資の恩恵を享受し、業績好調が続く。営業利益率は2020年3月期の3.9%から今2023年3月期は16.6%に上昇する見通しだ。

半導体検査装置の世界大手で16位に入ったアドバンテスト、カスタムLSIのトップメーカーである21位のローム、24位で半導体製造用途のフォトレジストに強みを持つ化学メーカーの東京応化工業なども含めて、ここ数年の世界的な半導体市場の活況が関連企業の収益性を大きく向上させていることをあらためて感じさせる結果となった。

市場全体の急拡大や、好採算な製品・サービスの増加、費用の削減、構造改革など、営業利益率が上昇する理由はさまざま。毎期着実に営業利益率を向上させている企業の取り組みを分析することで、今後の成長性を判断することにもつながりそうだ。

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