日本と韓国「国歌、国花、お金」に見る驚きの根本差 日本のお札に「明治維新関連の人が多い」深い訳

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韓国の1万ウォンはハングルをつくり、15世紀に北方に領土を拡張した世宗(セジョン)大王、1000ウォンと5000ウォンは、朝鮮王朝の2大儒学者が選ばれている。

1000ウォン札の肖像画になっている李退渓(イテゲ)は、江戸時代にその書が邦訳され、日本の朱子学に大きな影響を与えた。5000ウォン札の栗谷李珥(ユルゴッイイ)は、韓国儒学の父と言われている人物だ。

そして比較的新しい5万ウォンは、なんとその5000ウォンの大儒学者の母親の肖像画だ。まさか親子そろって500年後に全国で流通するお札の顔になろうとは、ご本人たちは思ってもみなかっただろう(韓国国内ではお札の人物選定に批判があることも付け加えておく)。

つまり、日本が最も歴史上誇りにしているのは近代化の成功に貢献した人々(いまの1万円札の肖像画を務める福沢諭吉も、次の渋沢栄一も)であり、近代化に失敗した韓国は近代以降に国民を統合するような政治的リーダーを決めづらく、500年くらい前に遡り、大儒学者を推しメンにしているのである。

「菊と刀」の日本に対し、韓国の象徴は?

これらの国家的象徴を比較したとき、日本の統合の象徴は引き続き、「菊」を紋章とする天皇であることが見て取れる。

アメリカの文化人類学者のルース・ベネディクトが著した有名な日本文化論に『菊と刀』がある。

「刀」のほうは、もちろん武士道を象徴している。ただし現代では、不用意に刀を所有して振り回していると、おそらく銃刀法違反で逮捕されるだろう。

しかし「菊」に象徴される天皇は、いまでも日本人にとって、ナショナルアイデンティティの重要な位置を占めている。

これに対し、現代韓国や朝鮮半島の、国民統合の象徴を探すのは、結構難しい

なにせ国民一人ひとりが国家の主体で、国花(木槿)が象徴するのも、政治指導者ではなく国民一人ひとりだ。

そもそも選挙のたびに「地域分裂の葛藤を克服し、国民の統合を……」などと訴えるわりに、伝統的な地域対立に保守と革新の対立が結びつき、そこに世代間対立や性別間対立が加わって激しく戦っているのが韓国政治の実態なのである。

次ページ日本が「朝鮮半島の象徴的敵役」を脱却するには?
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