【産業天気図・石油化学】値上げ浸透は一巡。各社とも成長率鈍化で『晴れのち曇り』

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2004年度は中国需要の拡大、原燃料価格高騰を背景にした値上げの浸透が寄与し、大手各社が最高益を更新する見込みだ。だが、翌05年度は業界最大手の三菱化学で営業減益の公算が強いように、各社、成長率は鈍化しそうだ。
 1つには、原燃料価格が落ち着き、05年度は値上げによる増収が見込めないため。原料ナフサ(粗製ガソリン)の国内基準価格は昨年10~12月が1キロリットル当たり3万5000円で帰着。19年ぶりの高値ながら先高感が薄れ、足元の実勢は3万2000円台を中心に推移している。前期は汎用樹脂で3度の値上げを行い「原燃料価格の上昇以上の値上げが通り、スプレッドが改善した」(業界関係者)が、これは05年度には望めそうにない。さらに大半が在庫評価について総平均法を採用しており、原燃料価格高騰は05年度から本格的に影響する見通しで、これも採算低下要因だ。
 一方で需要は引き続き中国向けを中心に堅調。だが、前期から業界挙げてのフル生産が続き、数量の大幅増は望めない。住友化学、三井化学、東ソーなど大手各社の増益率は小幅にとどまりそうだ。
【石川正樹記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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