ドンキ安田会長が「引退」、その激烈人生

圧縮陳列に放火事件…流通王の生き様

安田会長は一代でドン・キホーテを売上高6000億円超の巨大小売業に育てた(写真:ロイター/アフロ AP:ロイターアフロ)

「安田でございます」──。

いつものようにドスの利いた低い声で話し始めた、ドンキホーテホールディングスの創業者、安田隆夫会長兼CEO(65)。2月5日に開催された経営方針説明会の席上、突然口にしたのが、「引退」の2文字だった。

6月末には大原孝治社長(51)にCEO職を譲り、グループ会社すべての取締役を退く。安田氏は「かねて満65歳までの引退を決めていた。当初計画から1年遅れにはなるが、気力、体力ともに十分なうちに引退することが、ドンキの長期繁栄につながる絶対条件だ」と語った。

スライドには、趣味のマリンレジャーを楽しむ自身の鍛え上げた体も映すなど、健康ぶりをアピール。「創業者が元気なうちにあえて引退するのはレアケース。ドンキはカリスマを必要としない会社になってほしい」と強調し、ズラリと並ばせた20人以上の幹部を「次期取締役候補だ」と紹介してみせた。安田氏は今後、海外事業に専念する。

圧縮陳列を演出、「驚安」もアピール

慶応義塾大学を卒業した安田氏は29歳でドンキの前身となる「泥棒市場」を開業。処分品やバッタ品を現金で安く仕入れて売ることで商売を覚えた。東京都府中市にドンキ第1号店を開業した1989年以降、2014年6月期まで25年連続で増収増益を達成。今期も記録更新はほぼ確実だ。今や売上高は6000億円を超えている。

ルイ・ヴィトンからトイレットペーパーまで、ドンキは4万~5万アイテムを扱う。それらを売りさばくビジネスモデルで安田氏が考え出したのが、「圧縮陳列」「深夜営業」「手書きPOP」だ。標準化した店でモノを整然と並べる大手チェーンストアと異なる手法を徹底。所狭しと品を積み上げる圧縮陳列は一見非効率だが、迷路やジャングルのような導線とともに、買い物客の楽しさが増し、客の滞留時間を長くする。

商品はナショナルブランドと別に、季節商品の売れ残りやノンブランドのスポット商品を安価で仕入れ、手書きPOPで需要を喚起。「驚安」のイメージを持たせながら、巧みな商品ミックスで、高い粗利益率を維持してきた。

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