オトコとオンナ、住宅業界が抱える根本課題

「活躍推進」なんて何を今さら!

(写真:wavebreakmedia / Imasia)

ある大手住宅メーカーとの打ち合わせでの一コマ。管理職の男性が頭を抱えて次のように話していたのが印象的だった。

「(部下である)彼女には将来、当社を支える人材になって欲しいのに、どうもその自覚が足りない」。

ちょっと厳しく追い詰めると泣いてしまうのだそうだ。それには心底、困ってしまう。そんな感じの話だった。

安倍政権が推進する成長戦略の一つとして「女性の活躍推進」がある。2020年までに社会の指導的な地位の中で女性が占める割合を30%以上とする目標に掲げる。この方針が打ち出されて以来、ビジネスの世界で女性を積極活用する気運が高まっており、住宅業界も例外ではない。

例えば、戸建て住宅最大手の積水ハウスでは2014年2月に、女性をはじめとした人材の多様性を目指した「ダイバーシティ推進室」を設置。積水ハウスはもともと、2013年2月には東京証券取引所から「なでしこ銘柄」に選定されている。ただ、この業界を取材し始めて15年ほどになる筆者は違和感を持たざるを得ない。一言でいうと、「ちょっと遅すぎやしないか」ということだ。

住宅業界で女性の存在は重要

誤解がないようにいうと、住宅業界で女性の活躍の場が増え、さらには彼女たちの地位が高まることは素晴らしいことだと思っている。

住宅の世界で女性の存在は非常に重要だ。まずは顧客としてみると、かつては男性だった住宅購入の意思決定者は女性に移っている。そのため、住宅展示場のモデルハウスなどでは「ママ目線」「主婦の感覚を生かした~」などというフレーズがやたらと目に付く。あるいはこれらに類似するもので、「子育てを追求した~」などいう枕詞もよく使われている。女性の感性を反映した住宅の企画や設計になっていないと、はっきりいって今の住宅市場では話にならない。

となると、住宅メーカーにおける商品開発や販売の面でも女性社員の位置づけは高まる。「女性の専門チームが開発しました」など、競合他社との差別化要素ともなるからだ。そんな女性の存在感が本来、強くなくてはならない業界で、ようやく「女性を活用しよう、登用しよう」というのは、「何を今さら」ではないか。ハッキリ言おう。いまだバリバリの男性社会。それが住宅業界だ。

そもそも積水ハウスや大和ハウス工業、住友林業、積水化学工業など、大手住宅メーカー10社に絞ってみると、女性の役員は1人も見当たらない。東洋経済オンラインが先日集計した「最新!『女性部長が多い会社』ランキング」(2月13日配信)で人数や比率の多寡を見ても、住宅メーカーは上位に1社もランクインしていない。

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