安倍元首相の国葬を税金を使ってでもすべき理由 国民にも岸田政権にも「大きなプラス」になる

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政治は、偶然と意図の両方を用いながら、賛否が割れる問題について調整を図る行為だ。ちなみに、全員が賛成するような問題に政治は不要だ。

安倍氏の死が偶然なのか、何らかの理由によるものなのかはわからないが、利用できる機会は有効に利用するといい。ただし、有効に利用できるか否かは、岸田首相以下の政権の行動次第だ。

岸田首相がアメリカを諫められたら戦後最大級の称号

弔問を契機とした外交について、実現する可能性はほとんどないと思うが、筆者の希望を述べておこう。

葬儀の主旨は死者を悼むことにある。敵・味方や関係の近い・遠いに関係なく、弔問を受け入れるといい。生前の安倍氏は、アメリカのドナルド・トランプ前大統領とも、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とも、時には痛々しいまでに気を遣って、よい関係を持とうとした人だった。来るなら、トランプ氏も、現職のジョー・バイデン大統領も、プーチン氏も呼ぶといい(実際には来ないだろうが)。

外交の場では、ウクライナでの軍事衝突を少しでも早く止めさせることに注力すべきだ。ウクライナの軍事衝突は、実質的にはウクライナを舞台とした、ロシアとアメリカの代理戦争の様相を呈しつつある。

ウクライナ、ロシアにそれぞれ言い分はあろうが、アメリカが戦争をやめさせようとしない限り、事態は長期戦に向かう公算が大きい。ロシアはもちろん悪いが、アメリカにも非があることが見えてきた。政権に影響力が大きい武器産業、エネルギー産業、農業などが大いに儲かっているアメリカに、戦闘を早期に終結させようとする意図は感じられない。

一方、過去20年ほどの間にロシアの国力は大いに改善しているし、エネルギーも食糧も豊富であって、アメリカが主導する経済制裁では大して困っていない。エネルギー関連の収入などもあって、侵攻直後に急落したルーブルの為替レートは回復して、軍事侵攻開始前の水準を上回っている。

岸田首相が、アメリカにも非があることを指摘し、アメリカを諫めることができたら大したものだ。戦後最大級に偉大な首相と呼ぶことに躊躇はいらない。

しかし、現実にそのようなことをしたら(アメリカ上層部と対立したら)、遠からず岸田首相のクビが飛ぶのだろうし、同首相にそこまで大物であることを望むのは可哀想だ。そこまで大物にならなくてもいいので、以下のことを実現してほしい。

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