芸能人を攻撃「暴露系YouTuber」の法的な問題 プライバシーを晒すことに批判的な意見も多い

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ただ、タレント側からすれば、交際の暴露は「業務の妨害だ!」となるかもしれません。タレントは、イメージに応じて出演やCMのオファーがあるため、交際が発覚したことで仕事が減る可能性は考えられます。

タレントや芸能人は「イメージ商売」と言われますが、日本の法律は、基本的に、この「イメージ」を保護しようという発想がありません。そして交際していることが事実であれば、それは名誉毀損にはなりません。明確にプライバシー権侵害にあたるとも言い切れません。

結局、プライバシー権は裁判例の中で認められてきた権利でもあり、侵害か否かの線引きは明確ではなくケースバイケースになりがちなのが実態です。

元動画が「名誉毀損」ならば、切り抜き動画は?

──暴露系YouTuberに便乗して、暴露動画の「切り抜き動画」を作成して配信したり、拡散したりする人もみられます。このような行為に、法的な問題はないのでしょうか。

たとえば、東谷氏は、自身のツイッターアカウントが凍結されたことで、YouTubeの動画をいったん非公開にしました。また、YouTubeのチャンネルが停止されることを防ぐため、当面の間、生配信だけで、アーカイブを残さないと言っているようですが、同時に、動画拡散のために切り抜き動画については全面的に肯定しているようです。

同じような拡散方式で、Twitterのリツイートがあります。リツイートが名誉毀損にあたるかどうかが問われた過去の裁判例では、リツイートも元ツイートに賛同する表現として本人自身の発言だと理解するのが相当とし、名誉毀損になるとされたものがあります。

ただ、収益性のないリツイートが大半であるのに対して、切り抜き動画には、双方に収益分配があります。そのため、切り抜き動画の場合は、収益目的の表現と考えられる可能性もあります。

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