【産業天気図・建設業】沈静化しつつあった価格競争再燃の懸念

拡大
縮小

2004年度はIT関連など民間設備投資の回復が、建設業界各社に恵みの雨をもたらした。特に鹿島、清水建設、大成建設、大林組、竹中工務店の大手5社はその恩恵が大きく、受注が前年比2ケタ増と好調の社もある。都心を中心にマンションの高水準供給も続き、準大手、中堅ゼネコンでも受注量は下げ止まった状況だ。
 ただ建設業界は社数が多く供給過剰状態であるにもかかわらず、03年以降は再編・淘汰の動きがストップしている。04年末には熊谷組と飛島建設が合併を白紙撤回した。業界構造が変わらない以上、やや沈静化しつつあった価格競争がいつ再燃しても、おかしくない。
 さらに、公共投資の縮減傾向も続く。建設経済研究所が発表した05年度の建設投資見通しは52兆6900億円(前年度比0.8%増)で久々にプラスに転じる見通しだが、災害復旧のための補正予算で一時的に下げ止まるに過ぎない。「これまで好採算だった公共工事が、競争入札での価格競争の激化で儲からなくなってきた」(中堅ゼネコン)との声も多く聞かれ始め、当面、『雨』模様が続く。
【吉川明日香記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT