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教員不足を解消するには「定数改善」しかない理由 小泉政権以降の「改革」が公立学校を壊した

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なぜ教員不足が起きるのか。原因を厳密に分析すれば、おのずと解決策は見えてくる。

文部科学省の調査では、教員不足数の全体像は不明のままだ

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「教員不足の解決策を教えてください」。最近、こんな取材依頼が一気に増えた。しかし、いったい何の、どのような状態を「教員不足」と捉えるのかさえかみ合わない中で、解決策を生産的に議論するのは難しい。

そこで本稿では、私の研究室が実施した調査を基に、まず教員不足を捉える視点を定め、なぜ・どのようにして深刻な教員不足がもたらされたのかを読者諸氏と共有したい。そのうえで、解決策の方向性を私なりに整理しよう。

公立学校の教員不足は、①いつの時点の、②どの地域の、③どの校種・教科の、④どの雇用形態の教員の、そして⑤何を基準にした誰にとっての不足か、によって見え方が異なる。解決策は、これらの視点を定めたうえで議論しなければならない。

まず、教員の不足数や配置数は一年中変化している。先生もケガや病気をするし、産休に入ったりするからだ。つまり①いつの時点での調査かによって教員の不足数は変わる。佐久間研究室が実施した調査によれば、2学期、3学期になるにつれて産育休・病休取得者の代わりが見つからなくなり、不足が深刻化していた。

国と子で異なる「見え方」

また、不足数は自治体ごと、地域ごとに異なる。同じ自治体の中でも都市部と、過疎地や離島とでは不足の状況も可能な対策も異なる。②どの地域の不足かを限定して議論する必要がある。

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