再建中のCSKを住商情報システムが合併、SI業界の4位級へ
情報サービス大手CSKは、資本提携関係にある住商情報システム(SCS)との合併を発表した。2009年10月に業務資本提携に向けての合意を発表してから1年半、遅々として具体化が進まず周囲をやきもきさせてきたが、ようやく話がまとまった。09年3月期、10年3月期にCSKが巨額赤字に陥る主因となった不動産金融・証券事業の売却・後始末が今2011年3月期で完全にメドがつくことを受け、合併に踏み切る。
手順としては、住友商事とSCSが共同で、CSK株に対しTOB(公開買い付け)をかける。3月10日~4月11日に公開買い付けを実施。株式の64%を取得し、CSKはいったん住商の子会社となり、その後SCSに吸収合併される。株式の割当て比率としては、CSKの普通株1株に対し、SCSの普通株0.24株を割り当てる。TOB対象となるのは、CSKの現在の筆頭株主ACAI(アント・コーポレートアドバイザリー)グループの所有株式で、一般株主は対象外。
住商・SCS側から見た場合の買い付け費用261億円のうち、SCSはF種優先株100億円分を担当する。SCSの財務体力から見れば単独買収も可能だが、「合併会社の財務体質安定性を高めるため」(住友商事の大澤善雄常務)に、住商の出資を仰ぐこととなった。
今回の合併により、10月1日から合併会社SCSKが発足する。本社所在地などは未定。業績が順調なSCSによる経営再建中のCSKの吸収合併という形になるため、「救済合併との見方もあるが、そうではない。対等合併の意識を持って臨む」(SCSの中井戸信英社長)という。実際、売上高は両社とも1500億円前後で、規模的には拮抗している。
SI業界は、売上高1兆円超のNTTデータを筆頭に、3000億円級、1500億円級と、規模別に集団を形成している。政府系など超大口案件ではシンジケートを組むことも多いが、1500億円規模の会社では単独では取れない案件も多く、調達力にも限界がある。規模のメリットが効く業種といえる。それだけに、「3000億円企業」となることはSCSの中井戸社長にとっては就任時からの悲願の1つ。合併後は業界8位のCSKと11位のSCSの単純合算により、業界4位級、2位グループとなる。