国家公務員の「夏賞与最大減」に見る民間との差異 上場企業大幅アップの一方、最大減となった訳

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過酷な労働環境にある一方で、公のために尽くす官僚の給与は低くはない。モデル給与例(2021年度)を見ると、25歳の係員の年間給与は314万9000円、35歳係長は450万1000円、本府省課長補佐(35歳)は715万5000円、地方機関課長(50歳)は667万円だ。民間平均給与である約433万円と比べれば、恵まれた待遇と見ることはできる。

さらに出世の階段をかけのぼり、本府省課長(50歳)になれば1253万4000円、本府省局長は1765万3000円、頂点である事務次官に就けば2317万5000円を手にすることができる。

加えて、民間の退職平均給付額(2018年、大学・大学院卒の管理・事務・技術職)が勤続25~29年で1216万円、「30~34年」1582万円、「35年以上」1997万円となっていることを考えれば、国家公務員(常勤)の定年退職金は平均約2100万円、地方公務員(25年以上勤務)は平均約2130万円というのも悪くはない。

「打ったら拝まれる 三振やったらどやされる 振らなどっちもない 信じて振るだけや」。かつてスポーツ用品大手ナイキのCMで、通算525本塁打を放ち球界を盛り上げた清原和博氏が苦悩を打ち明けるようなシーンは話題を呼んだ。

公に奉仕する姿に応援コメントも

人々の関心を集め、様々なバッシングにも見舞われるという点は公務員も同じだが、職務の重要性から常に完璧を求められ、成果が見えにくい世界は「できて当たり前 失敗しなくても怒鳴られる 特に旨味もない あるのは使命感だけや」といったところだろう。

最近では、山口県阿武町の4630万円誤送金問題といったミスばかりが注目されるが、コロナ禍でも変わらず「公」に奉仕する公務員に向けてはインターネット上で応援コメントも見られている。過酷な勤務時間に加え、政治にも翻弄されながらコツコツと働く公務員には頭が下がるのも事実だ。国は働き方改革を推進しているが、まずは国民に範を示す公務員の労働環境を改善しなければ説得力をもたないのは言うまでもない。

価値観が多様化する激動の時代に安定や使命感を追求するのか、否か。それでも、あなたは公務員になりたいですか?

佐藤 健太 マネーセージCMO、ファイナンシャルプランナー

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さとう けんた / Kenta Sato

ライフプランのFP相談サービス『マネーセージ』執行役員。心理カウンセラー・教育アナリスト。社会問題から政治・経済まで幅広いテーマでソーシャルリスニングも用いた分析を行い、各種コンサルティングも担う。様々なメディアでコラムニストとしても活躍している。

 

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