旧アデランス社長を解任、スティール・パートナーズの迷走
かつら最大手のユニヘアー(旧アデランスホールディングス)で社長解任劇が勃発した。
同社は2月17日付で大槻忠男社長(67)を解任し、創業者の根本信男会長(70)が社長を兼任すると発表。大槻氏は社長交代を拒んだが、業績悪化を理由に取締役会で緊急動議が出され、取締役への降格が決定した。
ユニヘアーは、米系投資ファンドの日本法人スティール・パートナーズが、発行済み株式の27・7%を持つ筆頭株主。取締役会はスティールが推薦した取締役が10人中7人を占めており、実質的な経営権を握っている。日本ペプシコーラ社長などを務めた大槻氏も2009年5月にスティールが株主提案し、経営陣に送り込んだ一人だ。
今回は根本氏も大槻氏の解任に向けて動いたとされる。「モノ言う株主」として上場企業の経営者を震撼させてきたスティールだが、結局はかつら事業に熟知している創業者に回帰するという“お粗末さ”を露呈させた格好だ。
09年にスティールが大槻氏を推薦した理由は、「日本の消費者マーケットについて熟知したリーダーであり、その豊富な経験をアデランスに提供できる」ことだった。
だが、業績はその後も低迷を続けている。ゴルフ場や美容サロン事業などの売却、北米子会社の完全統合などを進めたものの、11年2月期まで2期連続で営業赤字を計上予定。昨年にはかつらの定額貸与も開始し、主力の国内男性向けに底入れの兆しもあるが、12年2月期も赤字は避けられそうにない。国内かつら・増毛市場は、07年度をピークに減少傾向で、今後も大きな需要は期待できない。