手放せない思い出の品も…後悔せず片づけるコツ 大事な形見や卒業アルバムもこれでスッキリ

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そう考えていくと、常識や思い込みにしばられ、手放せずにいる物が実に多いのです。そして、この既存の概念や常識を見直さなければ、物は一向に減らすことができないのです。

「捨てられない!」を解決する方法

生きている以上、これからも物を買うでしょうから、物はまだまだ増えるはずです。でも、大量の物に囲まれた生活は、年齢を重ねるほど、負担になっていきます。掃除がしにくい、物を探しにくい、物につまずいて転びやすい……ですから、やはり物は減らしていくに限ります。

しかし、人間って、そんなに単純な生き物ではありません。片づけなきゃと頭では理解していても、大切と思っていた物をスパッと手放すのはとても難しい。

どうしたら、この迷いを断ち切れるのか? 

「手放せない」という心情の奥にあるのは、思い出までもが失われてしまうような不安、また見たくなったらどうしよう、という不安です。物がなければ忘れてしまうかも――そう思ったら、手放す勇気はなかなか持てません。

相当に心の葛藤がありました。そして悩んだ末についに思いついたのが、「捨てる? 捨てない?」の2択ではない、第3の方法、それが「思い出コンパクト術」です。それは、思い出の品をコンパクトな形に作り変えて、それだけを残し、かさばる大量の現物は手放すというアイデアです。

形はちがっても「目に見える」ものを残せば、不安は解消します。いつでも目にできる小さな形にしておけば、ずっと思い出とともに暮らしていけますから、かさばる現物を手放す決心は、不思議なほどスッとつくようになります。

例えば、形見の品だったら、写真を撮って、その写真だけを手元に残す、といったアイデアです。今はもう使っていない思い出の木製の家具なら、小物入れにリメイクする、お気に入りだったドレスの生地をポーチにリメイクするなど、普段使いできる小さな物に生まれ変わらせることもお勧めです。

そして私はこの方法で、一部屋、丸々埋め尽くしていた多くの物を手放せたのです。

押し入れからあふれるほど大量にあった雑貨のコレクションは、一品ずつ写真に撮って1冊のコレクション集にし、何十冊もあった家族のアルバムも、たった1冊のダイジェスト版にしました。本2冊分に、一部屋分の思い出が集約されたのです!

片づけは今日、明日、すぐにやらなくても困らないだけに、つい1日延ばしにしてしまうもの。でも、ホントは片づけたほうがいいのに……と心に引っかかっている状況は、あの「懐かしい何か」と似ていませんか?

そう、片づけは“夏休みの宿題”と同じなのです。

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早めに宿題を終わらせれば、残りの夏休みを心おきなく満喫できるように、片づけも、早くから手をつけておくに、越したことはないのです。

夏休みにたとえると、50代はまだ7月。ですが、計画は立てて手をつけはじめたほうがいい時期です。60代は8月初旬、70代は8月中旬、80代は8月下旬のようなもの。年齢的に体力が落ちる8月下旬で片づけるのは容易ではありませんよね。

さあ、一度、自分の持ち物を見直してみませんか? 迷っても大丈夫。思い出コンパクト術を使えば、挫折せずにやり遂げられます。

小野 めぐみ 思い出編集室エグゼクティブプロデューサー

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おのめぐみ / Megumi Ono

1962年、東京都生まれ。大手銀行を経て、出版社に勤務。メディアファクトリー、KADOKAWAにて数々のベストセラー書籍に携わったのち、2015年からフリーで活動。同時期に父親の死をきっかけに、セカンドライフ世代の人たちが心身ともに生活を向上させ、かつ終活としても役立つ「片づけ法」を数年間にわたり模索。ついに多くの人が最も悩む「思い出の物」への対処法として、「捨てるor 捨てない」とは別の、第3の選択肢となる「思い出コンパクト術」を編み出す。このメソッドが大好評を博し、2016年、新たなライフワークとして思い出フォトブックなどの制作を手掛ける小瑠璃舎を起業。セミナーも大人気。
思い出編集室(omoide-office.com)

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