ベテラン教師が不合格になる採用試験の大疑問 「年齢構成の平準化」という理不尽なバイアス

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「年齢構成の平準化」を一つのゴール地点として考えれば、各自治体の計画的な採用が奏功しているように見える。だが、当事者である非正規教員の立場から見たらどうか。運悪く2010年頃に教員を目指したがゆえに非正規で雇用され、いずれは切り捨てられることを前提に、使われ続けていることになる。

そして、「年齢的な偏りを生じさせない」と教育委員会が考えている限り、この世代の非正規教員は採用試験で大学生よりもかなりの高評価を得なければ突破できない状況にある。

若手とベテランが同じ土俵で選考される

では、実際の採用試験で経験を積んだ非正規職員と新規採用の学生はどのように選考されているのか。

民間企業の採用は通常、「新卒採用」と「中途採用」に分かれる。前者は「ポテンシャル採用」と呼ばれ、実績よりも将来性や人間性が評価される。一方、後者は「キャリア採用」と呼ばれ、手がけてきた仕事や即戦力性が評価される。つまり、まったく異なる土俵が用意され、それぞれの競争を経て採用者が決まる。

ところが、教員採用試験はこの二つが極めて曖昧に混ざり合う形で実施されている。民間企業で言えば、大学卒の22歳と30~40代の中堅・ベテランにほぼ同じような課題が与えられ、同じ観点に基づき評価がなされ、採用者が決定する。

もちろん、どの自治体も経験者を対象とした「特別(特例)選考」の枠は用意している。大学生などの「一般選考」と比べて、筆記試験が軽減されることもあり、多くの非正規教員がこの区分で受験している。

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