あの「レブロン」を破綻に追い込んだ3つの変化 消費者ブランドはサプライチェーン混乱に弱い

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この買収が一因となって、ペレルマンはビリオネア兼社交家に成り上がり、多額の寄付をして美術館・病院・大学のウィングに名前を刻んだ。その頃の1998年にレブロンの株価は最高値をつけた。

しかしその時、売り上げはすでに低下を始めていて、すぐにレブロンの株価も下がり始めた。1998年には、レブロンの17億ドルの負債にかかる利息が営業利益を上回っていた。

他社の買収で事業多様化を図ったが

事業の多様化と強化を目指し、レブロンは他社の買収を行なった。その中には2016年に行なったネイルケアブランドのキューテックス国際事業と、エリザベスアーデンの買収が含まれる。これらの買収は、借入を主な資金源として行われた。

しかしレブロンは、化粧品業界に新たな起業家が登場する中で、市場での存在感を取り戻すのに苦労した。

「当社製品に対する消費者の需要は依然として強く、ブランドは皆さまに愛されており、当社は市場において引き続き健全な地位を維持している」と、ロン・ペレルマンの娘であるレブロンCEO、デブラ・ペレルマンは声明で述べている。同社の拡大したバランスシートは、「この需要を満たすためマクロ経済的な問題に対処していく当社の能力の制約となっている」と彼女は述べた。

数年前にニューヨークで口紅のエマージェンシーチューブを購入したことは別として、冒頭のカタニアはだいぶ以前にレブロンの化粧品の購入をやめたと言っている。

彼女は現在、シャネル、NARS、MACなど、より高級なブランドを好んで利用している。もっとも本当に良い商品があれば、再び顧客になることも考えるという。しかし彼女はレブロンについて、「おそらく1990年代の全盛期以降、クールな商品になるためにリブランドが行われたことはないと思う」と語った。

(執筆:Lauren Hirsch記者、Julie Creswell記者)

(C)2022 The New York Times 

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