いちばんいいのは、ITがわからない50歳以上のおじさんたちに会社を辞めてもらうこと--村上憲郎・グーグル日本法人元社長/前名誉会長(第5回/最終回)

いちばんいいのは、ITがわからない50歳以上のおじさんたちに会社を辞めてもらうこと--村上憲郎・グーグル日本法人元社長/前名誉会長(第5回/最終回)

--ご自身でも団塊世代だとおっしゃいましたが、日本国憲法が施行された1947年のお生まれです。いわば日本の戦後を生きてこられた村上さんの目には、閉塞感が漂う今の日本はどう映っているのでしょうか。

私が生きてきた64年間は、まさに日本が廃墟の中から立ち上がった64年間です。こんなにきれいで安心安全といわれる国はほかになかなかありません。誇っていいでしょう。ただ、戦後から復興した日本社会の仕組みは“オプトイン”なんです。

簡単に言うと、たとえばある新しい機能が出てきたときに基本的にはみんなが使えるようになっていて、使いたくない人は使わなければいいという仕組みが“オプトアウト”。ところが、日本は新しいことが起こると先回りして心配をし、原則許可ではなく、原則禁止をしますよね。

新しいことは基本的にはやらない方向で進んでいくのがオプトイン社会です。しかも日本は検討に検討を重ねたとしてもやらないことが多いです。

一方、アメリカはオプトアウト社会の典型で、新しいことはとりあえずやってみて、やっていく中で禁止事項を作るなど修正をしていきます。この時代にオプトインのやり方のままでは絶対に後れをとりますので、今後の日本はいかにオプトインからオプトアウトの体制に変えていくかということが重要になります。

たとえば、世界では600万もの企業がグーグルアップスを使っていますが、日本は社内の大事なデータを外部に預けていいのかという議論をいまだにしていますよね。そんなことを続けていたら、完全に競争力を失うでしょう。

ちなみに、グーグルのR&Dセンターができた順番は、本社、スイス、NYに続いて日本でした。本社の優秀な人たちから、「日本のコンピュータサイエンスの水準が極めて高い」と評価された証しなので、日本人として誇らしかったですね。それだけ日本の若いエンジニアや学生が期待されているのにもかかわらず、日本はグーグルアップスに限らずクラウドコンピューティングの活用にまだまだ消極的です。もっと大胆に採り入れていくべきです。もちろん、情報システム部門がいらないわけではありません。クラウドに委ねる部分とそうでない部分の切り分けができる見識を持った情報システム部門が必要だということです。

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