厳しい海運業界、日本の強みが招いた"誤算" 商船三井は今期業績予想を大幅下方修正
海運業界の業績格差が広がっている。
国内首位の日本郵船と3位の川崎汽船は1月27日、2015年3月期の営業益計画を590億円(前期比31%増)と460億円(同59%増)へ上方修正した一方、2位の商船三井は130億円(同68%減)へ下方修正した。
差は得意とするコンテナ船ルートでついた。日本郵船と川崎汽船は荷動きが堅調な北米向けアジア発航路に強く、スポット契約で市況改善を取り込み、事業黒字化を果たす。が、商船三井はアジアと南米を結ぶ航路が主力で、ブラジル経済の停滞が直撃した。北米向けも、昨春に大半を年間契約で固めていたため、市況回復の恩恵を受けられず、2期連続の事業赤字に沈む。
バラ積み船は市況低迷が痛打
各社にとってコンテナ船と並ぶ柱である、鉄鉱石や石炭、穀物などを運ぶバラ積み船は、深刻な市況低迷に襲われている。総合的な値動きを示すバルチック海運指数(1985年=1000)は2015年に入って600台と、前年同期に比べ4割下落。実に28年ぶりの低水準に落ち込んでいる。
影を落とすのは海運市況の金融化だ。2012年以降、海運市況や船価が底に達したと見た大量のファンド資金が造船市場に流入。以来、船舶の余剰感が続いている。
日本勢は、バラ積み船の多くは荷主と中長期契約を結び、収益の安定化に努めているが、商船三井は市況に連動するフリー船の比率が相対的に高い。それは、かつて商船三井がリーマンショック直前の2008年3月期に2912億円もの営業益を叩き出して、日本の海運トップへ上り詰めた(同年度に日本郵船は2020億円、川崎汽船は1296億円)原動力でもあったが、その"風任せ経営"は今、限界を迎えている。
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