少子化は「生活水準向上」「女性の権利獲得」と相関 『世界少子化考』を取りまとめた宮川裕章氏に聞く

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宮川裕章(みやがわ・ひろあき)/毎日新聞外信部欧州総局長。1997年入社。社会部、外信部を経て2011~15年パリ特派員。16年から経済部で経産省、日銀などを取材。20年から外信部デスク、22年4月から現職。著書に『フランス現代史 隠された記憶』(ちくま新書)など。本書では全体の構想、取材計画等を担当。(写真:毎日新聞社)
イーロン・マスクも気に掛ける日本の少子高齢化。ただ、世界を見渡せば日本を猛追する国がある。一方で少子化を食い止めている国も。両者は何が違うのか。日本は何か学べるのか。そして、そもそも少子化は悪なのか。
『世界少子化考  子供が増えれば幸せなのか』(毎日新聞取材班 著/毎日新聞出版/1320 円/285ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──日本は独りじゃない。

2020年の合計特殊出生率は1.34ですが、韓国、中国のそれはそれぞれ21年0.81、20年1.30と日本を下回り、中国では「未富先老(豊かになる前に老いる)」という言葉が表すように、すでに高齢化が問題になっています。

──文化的要因があるようですね。

東アジアの国々に共通するのは、子供を持つ前提が法律婚であることです。事実婚が多い欧米と比べて結婚へのハードルが高い。そこには儒教、家父長制など文化的影響があると思います。

例えば、韓国では結婚の際に男性が家を準備するという慣習がありますが、ソウルで100平方メートルのマンション価格は21年で約1億2500万円です。女性の場合は「結婚後」が問題になります。アジア通貨危機で女性の社会進出が進んだものの、女性が家事、育児をすべきという社会の雰囲気は変わっていない。

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