九州新幹線に賭けたJR西日本の引けない事情

九州新幹線に賭けたJR西日本の引けない事情

一番列車「みずほ601号」は、たった15秒で完売──。

2月12日、午前10時。1カ月後に開通を控えた九州新幹線の指定席を求める人が、全国の駅窓口に列を成した。一番列車である、6時の新大阪発・鹿児島中央行に続き、午前発の列車は“秒単位”で次々と完売。人気の高さをあらためて見せつけた。

鉄道業界の期待を一心に集めるのは、3月12日に直通運転がスタートする、九州新幹線・鹿児島ルート。これまで本州の新大阪-博多のほかは、九州における新八代(熊本)-鹿児島中央の部分開業にすぎなかった。今回の全線開通で、新大阪-熊本を最速で2時間59分、新大阪-鹿児島中央を3時間45分でつなぐ。移動時間は現行に比べ、それぞれ58分、77分短くなる。

乗り心地も従来の新幹線のイメージを覆す。普通車指定席(N700系)でさえ、2×2列の広々とした朱桜調のシートだ。本物の木材を取り入れた手すりが柔らかな雰囲気を醸成。座面と背もたれが連動するリクライニングシートにはグリーン車と同じ機構を採用した。試乗した九州出身の20代女性は「帰省するなら絶対これ」と言い切る。

ANAは同額で対抗

運営するJR西日本の鼻息は荒い。ドル箱の東海道新幹線を持つJR東海は、旺盛なビジネス需要を背景に、運輸収入の9割を新幹線で稼ぎ出す。一方、新大阪以西を管轄するJR西は、在来線が新幹線の収入を上回る。その在来線も近畿圏の就業人口減で苦しくなってきた。

現状で近畿-南九州間の移動は、航空機と新幹線の割合が9対1。この比率を5対5まで上げたいところだ。新車両への投資は計300億円に上ったが、移動需要の半分を航空機から奪えば、3~4年で回収可能と思われる。

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