トヨタ、通期利益はさらに上乗せの公算 米販売好調と円安効果大きい

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 1月26日、トヨタ自動車など一部の大手自動車メーカーは、2015年3月期の業績予想を上方修正する可能性がある。同社のロゴを模したオブジェ、デトロイトの北米国際オートショーで12日撮影(2015年 ロイター/Mark Blinch)

[東京 26日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>など一部の大手自動車メーカーは、2015年3月期の業績予想を上方修正する可能性がある。消費増税のあった国内や一部新興国での販売低迷はあるものの、トヨタや富士重工業<7270.T>は米国での販売好調や円安の恩恵を受け、過去最高益更新をすでに見込んでいる営業利益予想をさらに上乗せしそうだ。

今期の営業利益予想は、トヨタが前期比9.1%増の2兆5000億円。ロイターの調査によると、アナリスト28人による予測平均値は2兆7480億円で、会社予想を2500億円近く上回る。

富士重は同17%増の3820億円を計画する。アナリスト22人による予測平均値は4278億円で、市場では同社として初の4000億円台が期待されている。

米国市場は、景気回復やガソリン価格下落により需要が盛り上がっている。両社とも利幅の大きいSUV(スポーツ型多目的車)などライトトラックと呼ばれるモデルの販売が、好調に推移している。2014年の米国新車販売は、トヨタは前年比6.2%増の約237万台、富士重は同21%増の約51万台と初の年間50万台超えを達成した。

円安効果も見込まれる。トヨタ、富士重は2014年第2四半期(4―9月期)決算で通期の前提為替レートを見直し、ともに1ドル=104円に設定したが、足元は110円台後半と一段と円安が進んでいる。1円円安に振れると、トヨタは約400億円、富士重は約92億円の営業利益の押し上げ要因となる。

特に富士重は、米国での販売好調が想定以上で生産が追い付かず、国内からの輸出も増えており、輸出採算の改善効果も大きい。

マツダ<7261.T>も今期営業利益は、2年連続過去最高となる同15%増の2100億円を予想する。アナリスト25人の予想平均値は2323億円と会社予想に対して若干の上振れを見込んでいる。

ただ、同社の場合は欧州経済の影響を受けやすく、特にロシアのルーブル安も懸念されており「通期予想の修正には慎重にならざるをえない」(自動車担当アナリスト)との指摘もある。

ルーブル安は日産自動車<7201.T>にも打撃が大きい。同社は提携先の仏ルノー<RENA.PA>、露アフトワズとの3社で、ロシア市場でのシェアが約3割を占める。英国工場からロシアに輸出しており、輸出採算も悪化する。

日産自の今期の想定為替レートは、1ドル=100円。1円変動すれば、営業利益ベースで年間約120億円のプラス要因になるが、ユーロ高/ルーブル安が減益要因となり、ドル高/円安のメリットが目減りしかねない。

日産自の今期営業利益予想は、前期比7.4%増の5350億円。アナリスト29人の予測平均値は5811億円と500億円近い上振れを見込んでいる。北米市場の販売好調や円安効果でどれだけマイナス要因を補えるかが注目される。

一方、ホンダ<7267.T>も米国での販売好調や円安効果は業績に寄与する。ただ度重なる主力車種でのリコール(回収・無償修理)を受けて品質確認作業を徹底したため、国内での新車の発売が遅れている。増税を受けて需要も低迷するなか、期末までの残り3カ月、来期に向けて国内での販売動向には先行き不透明感が強い。

ホンダは1月30日、トヨタ、富士重、マツダが2月4日、日産自は2月9日に決算を発表する。

 

(白木真紀 編集:田巻一彦)

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